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「1隻3億~6億円」船の改造費 辺野古推進、予算に糸目付けず 防衛省


「1隻3億~6億円」船の改造費 辺野古推進、予算に糸目付けず 防衛省 大浦湾側の埋め立て工事で、海中に石材を投入する作業船=2月、名護市
この記事を書いた人 Avatar photo 明 真南斗

 米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に向け、防衛省は地盤改良船の改造で追加予算を検討している。新基地建設の費用は、最深で水面下約90メートルに達する軟弱地盤に対応するために1兆円規模に膨らんできた。今後さらなる工費の増大が見込まれる。建設推進のために糸目を付けず予算をつぎ込む防衛省の前のめりな姿勢が表れている。

 防衛省が辺野古新基地建設の地盤改良を検討する際に業者がまとめた2018年の報告書では、専門業者への聞き取り結果がまとめられている。最大打ち込み深度を70メートルまで延ばすことができる船は4隻あり、おおむねの改良費は1隻当たり3億~6億6千万円要すると記載されている。物価高騰も踏まえると、さらに高額になる可能性がある。

 防衛省は「必要な作業船の改造を行い、国が費用を負担した事例は複数ある」と説明した。普天間飛行場の辺野古移設事業でも、資材を陸揚げするために使っている船を着岸しやすいよう改造したことがあるという。

 総事業費について、防衛省は19年に9300億円と説明した。地盤改良工事の追加で14年に説明していた3500億円から約2・7倍に膨らんだ。22年度末までに合計4312億円が支出された。大浦湾側の工事に着手していない段階で半分近い額を支出しており、事業費のさらなる増額は不可避とみられる。 (明真南斗)