軟弱地盤が水面下約90メートルまでと最も厚く堆積している護岸建設予定地では、地盤改良船を用いて同約70メートルの深さまで地盤を改良することが計画されている。現有の地盤改良船では最大で水面下約70メートルまでしか砂ぐいを打ち込むことはできないからだ。さらに深い地盤は国内のどの施工機械を使っても改良できず、未改良地盤が残る。
水面下70メートルまで対応できるとされる地盤改良船でも、実際に使うためには艤装(ぎそう)(改造)が必要になる。1隻当たり数億円かかると見積もられる。改良深度が深くなるにつれ、船上の施工機械も大型となり、船の重心が上昇する。船の安定性が悪くなるため、風や波などの気象条件による施工機械の稼働に制約も出てくるだろう。
地盤を改良する割合も羽田空港など過去の工事と比べて極めて高い。大量の砂を水面下70メートルまで投入するが、計画通りに施工できるかが焦点となる。大量の砂を投入することで海底面が盛り上がる。盛り上がりを予測しながら対応しなければならない。盛り上がった土自体を改良する必要も生じる。非常に難しい工事になることが予想される。
(地盤工学)