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【観光・交通】「車社会」で深刻な渋滞 鉄軌道導入、9割が賛成<争点を探る・6.16沖縄県議選>4


【観光・交通】「車社会」で深刻な渋滞 鉄軌道導入、9割が賛成<争点を探る・6.16沖縄県議選>4 渋滞する沖縄自動車道
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 新型コロナウイルス感染症の法的位置付けが5類に移行して1年余がたち、コロナ禍で低迷した沖縄観光は復活の軌道をたどっている。2023年度の入域観光客数は前年度比25・9%増の853万2600人で、国内客はコロナ前の18年度を上回り過去最多だった。

 一方で交通渋滞などのオーバーツーリズムや人手不足、大手資本参入に伴う過当競争など課題も山積し、県議会では持続可能な観光の在り方に向けて、積極的な議論が求められる。

 本紙の政策アンケートで、立候補者に沖縄の観光産業の発展に必要なことを、複数の選択肢から三つ選んでもらったところ、「沖縄の自然伝統文化を生かす」を最多の67人(95・7%)が選択し、次いで「公共交通や渋滞の少ない道路の整備」を過半数の42人(60%)が選んだ。

 車社会の沖縄は市街地の慢性的な渋滞が課題だ。観光客の増加でレンタカー台数が増え、交通渋滞が深刻化している。沖縄都市モノレールの車両3両化や、那覇市が目指す次世代型路面電車(LRT)導入などの動きもあるが、県内広域で公共交通を発展させる取り組みが必要となっている。

 県が掲げる鉄軌道の導入については、回答者の9割近くに相当する61人が賛成だった。これまでの県議選で琉球新報が実施したアンケートと同様に、今回も与野党の立場を超えて、鉄軌道について賛成の意見が多数を占めた。

 県は現行の第6次沖縄振興計画(新・沖縄21世紀ビジョン基本計画)で、鉄軌道導入に向けた取り組みを記載した。那覇―名護を1時間で結ぶルートを想定し、県民や観光客の利便性向上につなげたい考えだ。

 一方で、内閣府が毎年実施している鉄軌道の導入調査では、導入コストに対する経済効果を示す「費用便益比」(B/C)が事業実施の目安となる1に届いておらず、厳しい見方も示されているのが現状だ。

 (’24県議選取材班)