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米軍「PCB」9トン引き取り 23年度 防衛局、残量把握できず


米軍「PCB」9トン引き取り 23年度 防衛局、残量把握できず

 東京・市谷の防衛省

この記事を書いた人 アバター画像 琉球新報社

 全国の米軍施設に人体に有害なポリ塩化ビフェニール(PCB)廃棄物が残されている問題で、2023年度に沖縄防衛局が在沖米軍基地内で見つけて引き取ったPCB廃棄物が約9トンに上ることが9日までに防衛省への取材で分かった。濃度が判明せず「みなし高濃度」として処分しなければならない廃棄物もあった。濃度不明の廃棄物は、米軍が持ち込んだ海外製である可能性が高い。

 PCB廃棄物が見つかったのは普天間飛行場、キャンプ瑞慶覧(フォスター)、キャンプ・シュワブ、嘉手納基地。処分が完了せず、3月末時点で濃度不明の安定器が普天間飛行場で約0・02トン、フォスターで約2トン、シュワブで約0・3トンが残されている。防衛省は基地内に残されたPCB廃棄物の総量や場所を把握できておらず、今後もさらに見つかる可能性が高い。

 過去に引き取って保管していた分も合わせて23年度に防衛局が処分したのは約12トンだった。防衛局によると、約8500万円かかった。

 内訳はトリイ通信施設から引き取った濃度不明安定器約1トンと低濃度のフィルター約0・1トン、普天間飛行場から濃度不明の安定器約0・4トン、フォスターから濃度不明の安定器約1トンと低濃度変圧器など約4トン、シュワブから濃度不明の安定器約0・1トン、嘉手納基地から低濃度変圧器約5トン。

 02年には在日米軍が保管する全てのPCB含有機器を本国に移送する方針が決まったが、その後、米軍が方針を転換。日本政府が引き取って処分を肩代わりしてきた。高濃度PCBを含む廃棄物については日本国内で本来の処理期限は切れており、引き取った分をどう処分するかめどが立っていない。 

(明真南斗、知念征尚)