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沖縄県が「スターリンク」導入 米国スペースXの衛星ネット 災害時の通信“途絶”に備え


沖縄県が「スターリンク」導入 米国スペースXの衛星ネット 災害時の通信“途絶”に備え 県が導入したスターリンクで用いるアンテナやルーターなどのキット=17日、県庁
この記事を書いた人 Avatar photo 知念 征尚

 地震などの災害時の通信途絶などに備え、沖縄県は本年度から、県庁や県の地方合同庁舎へ米スペースX社の衛星インターネットサービス「スターリンク」を導入した。島しょ地域の沖縄では災害で海底ケーブルが損傷したり、停電したりすると復旧に時間を要することも想定され、行政の災害対応や避難所での通信確保に役立てる狙いだ。

 スターリンクは米宇宙企業スペースXが手がける衛星インターネットサービス。高度550キロの上空に打ち上げた低軌道の周回衛星で、従来の静止衛星が提供する通信サービスに比べて、高速で安定したデータ通信が可能となる。

 県は、2023年度にアンテナやルーターなどからなるキットを計9機購入。導入経費は計400万円。また、1機当たり約17万5千円(1カ月)の維持費がかかる。県は本年度から、県庁に4機、北部、中部、南部、宮古、八重山の各合同庁舎に1機ずつ設置した。災害時には各地方庁舎に立ち上げられる災害対策地方本部の通信確保に活用する。

 また、各本部は通信環境が比較的強固なため、通信が維持できている場合には、通信が途絶した被災地にスターリンクを移動させて運用することも想定しているという。

 今年1月に発生した能登半島地震の被災地でも活用され、通信が途絶した地域での情報収集などに役立てられた。県内では石垣市も導入した。

 県の担当者は「通信は重要なインフラの一つであり、通信途絶はあってはならない。災害時にもしっかり確保できるよう体制構築したい」と語った。

 17日の県議会一般質問での糸数昌洋氏(公明)への答弁で、溜政仁知事公室長が説明した。

 (知念征尚)