1944年8月22日に米潜水艦に撃沈された対馬丸の再調査が検討されている。実現すれば、97年の位置確認調査以来となる。対馬丸記念会(髙良政勝理事長)は18日、自見英子沖縄担当相に水中調査などの実施を正式に要請した。進歩した技術でさらに詳しい船の状態が判明することを期待している。
97年の調査には、海洋科学技術センター(現・海洋研究開発機構)の深海調査研究船「かいれい」および深海探査機「ドルフィン3K」「かいこう」が参加した。同年12月12日、ドルフィン3Kが鹿児島県・悪石島の北西沖約10キロ、水深約870メートルの海底で対馬丸を確認した。船首右部分に船名「對馬丸」という文字が残っているのを撮影した。沈没から53年が経過していた。
調査結果を踏まえ、沈没している対馬丸や遺骨の引き揚げは困難と判断された。そこで、代わりに事件を語り継ぐ場として対馬丸記念館が設置された。
政府関係者によると、自見担当相は就任当初から対馬丸関連の施策に取り組む意向を示していた。経済財政運営の指針「骨太の方針」に「平和学習の充実」と盛り込んだのも、対馬丸が念頭にあった。自見担当相の夫は、97年の調査当時に首相を務めた橋本龍太郎氏の次男、橋本岳衆院議員。対馬丸記念会から自見担当相が18日に要請を受けた場には、橋本岳氏や県関係の国場幸之助衆院議員が同席した。
対馬丸記念会は今回の要請で、遺品などの回収も求めている。生存者や遺族らの要望に沿った調査内容になるか、注目される。
(明真南斗)