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日米合同パトロール、県警「慎重に」 身柄拘束は原則米側 超党派で「県民大会」開催の提言も 沖縄県議会


日米合同パトロール、県警「慎重に」 身柄拘束は原則米側 超党派で「県民大会」開催の提言も 沖縄県議会 県議会米軍基地関係特別委員会に臨む、委員や県当局者ら=25日、県議会
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 県議会米軍基地関係特別委員会が25日あり、県内で相次いだ米兵性的暴行事件に質疑が集中した。在日米軍司令官が声明で県警との合同パトロールを実施したい意向を示したことについて、県警の安里準刑事部長は、犯罪現場に遭遇した場合に原則として米側が容疑者の身柄を確保することになると説明し、「かなり慎重にしないといけない」との認識を示した。事件を受け、中立系議員からは県民大会の開催を求める意見も上がった。

 合同パトロールを巡っては、これまでの県警本部長が複数回にわたり、身柄確保に関する地位協定上の理由などから県議会で難色を示す答弁をしている。

 安里氏は「米軍側が軍事警察の力を基地外で行使することになれば、県民感情を踏まえて支障が出てくると考えている」と述べ、懸念を示した。

 日本復帰前には合同パトロールを実施していたとした上で、県警側から中止を求め、1974年以降は実施していないと説明した。一方で司令官が22日に声明発表をする前に米側などから連絡があったかについては「把握していない」と明らかにした。比嘉瑞己氏(共産)と玉城健一郎氏(てぃーだ平和ネット)への答弁。

 報道発表されない米軍関係者の事案について、逮捕や書類送検の後に県に情報を伝達するという運用を巡っては、県へ提供された情報の公開については「県の判断になるかと思う」との見解を示した。玉城氏への答弁。県警は、被害者のプライバシー保護に特段の配慮を求めた上で情報を県に伝えるとしている。

 県へ伝える情報について安里氏は「個別案件について全てとは申し上げないが、事件摘発、逮捕、事件送致した際に那覇地検と相談しながら情報提供する」と述べるにとどめた。大田守氏(維新の会)への答弁。

 一方、県政に中立的な立場をとる大田氏は問題を米軍に訴えるため「県民大会が必要だ」と述べ、超党派で大会を開催する必要性を提言した。1995年に起きた米海兵隊員による少女暴行事件の際には県民総決起大会が開催されるなど反発が広がった。97年の米軍関係者による刑法犯の摘発件数は70件と、前年の130件から大幅に減り、98年も39件となるなど大きく減らす効果があったと指摘。「主義、信条ではなく、公益性がある」と強調した。

 この日の委員会では、相次ぐ米兵による性的暴行事件に関する陳情など、嘉手納町議会が提出した4件の陳情を全会一致で採択した。

 (知念征尚、大嶺雅俊)