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日米合同パトロール「国の主権に関わる」 認めれば「復帰前に逆戻り」 歴代の県警幹部らが異論 沖縄


日米合同パトロール「国の主権に関わる」 認めれば「復帰前に逆戻り」 歴代の県警幹部らが異論 沖縄 沖縄県警察本部
この記事を書いた人 Avatar photo 安里 洋輔

 相次ぐ米兵性的暴行事件を受け、在日米軍が再発防止策の一環として打ち出した米側と県警による合同パトロールの提案は、県警に周知されていなかった。提案について米兵や軍属が関わる事件捜査を担った歴代の県警幹部からは「国の主権に関わる問題だ」などと異論が上がった。日米地位協定の規定による米兵の身柄引き渡しの問題も懸念されることから、過去の県議会でも、県警本部長が「容認していない」との答弁を繰り返していた。 

 「主権国家として到底認められない」。在日米軍が提案した合同パトロールについて、拒否感を示したのは、2000年代に捜査一課長を務めた元幹部だ。危惧するのは、憲兵隊(MP)と合同パトロール時に米兵や米軍属を共同逮捕することになった場合の対応だ。

 日米地位協定に基づき、MPに容疑者の身柄が引き渡され、原則として起訴まで米軍側が身柄を拘束することになる。

 元幹部は「基地外での米軍の警察権行使につながる。大きな問題だ」と憤る。元刑事部長の一人も「県民感情を逆なでするものだ」と警戒感を隠さない。米軍側からの合同パトロールの提案は、米兵の事件・事故が起こる度にあったが、「県内の治安確保は県警の責務だとしてつっぱね続けてきた」と振り返る。別の刑事部長経験者は、沖縄の日本復帰前には合同パトロールが慣例化していたとし、「合同パトロールを認めれば復帰前に逆戻りだ」と反発する。

 過去の県議会でも日米当局の合同パトロールが議題に上がった。

 2008年の2月定例会では、得津八郎県警本部長(当時)が、米軍基地外の治安確保は県警の責務だと指摘し、米兵・軍属を共同逮捕した場合の身柄引き渡しの問題を踏まえて「容認していない」と答弁。村田隆県警本部長(同)は、11年2月定例会、12年11月定例会で同様に答弁し、「共同実施は現状では望ましいものではない」との認識を明確にしていた。

 (安里洋輔)