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米兵事件共有、後退も 外相「配慮必要」と示唆 通報手続き「詳細知らず」


米兵事件共有、後退も 外相「配慮必要」と示唆 通報手続き「詳細知らず」 上川外相=2024年6月
この記事を書いた人 Avatar photo 明 真南斗

 【東京】上川陽子外相は30日の参院外交防衛委員会の閉会中審査で、米軍構成員が関わる刑事事件の情報共有の在り方について「社会状況の変化も踏まえた対応が必要となる」として再検討する考えを示した。外相は「政府部内を含む情報共有体制に関しても、事故とは異なる配慮が必要」と述べており、情報共有の迅速さや透明性の点で後退する可能性がある。

 事件について報告を受けた当初、1997年に日米が合意した通報手続きの内容について「詳細を把握していなかった」とも明かした。小西洋之氏(立民)への答弁。

 米軍関係の事件について上川外相は「認知の在り方が事故とは異なる」とも強調。関係者によると、97年合意から刑事事件を分け、別で通報手続きを定めたり、運用を変えたりする可能性がある。

 情報共有については佐藤正久氏(自民)ら複数の議員に答えた。佐藤氏は「米軍の方が先に分かるような墜落など事故とプライバシーの保護が関わるような刑事事件が同じ通報系統でいいのか」などと質問した。

 上川外相は、30日の衆院安全保障委員会で、在日米軍が日本政府や地元と協議する新たな枠組みを提案している「フォーラム」について「(事件事故の再発防止に限らず)より広く日米双方と地元の利益にかなう具体的な協力を生み出していけるような場としたく、米側と地元側と調整している」と説明した。赤嶺政賢氏(共産)から、既存の「米軍人・軍属等による事件・事故防止のための協力ワーキング・チーム」(CWT)との違いを問われて答えた。

 警察庁は、昨年5月に発生し、米海兵隊員を被疑者として同6月に強制わいせつ致傷で那覇地検に送検した事件があったと明らかにした。 

(明真南斗)