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人間国宝って何? 伝統の技術、後世に継ぐ<ニュースはじめの一歩>


人間国宝って何? 伝統の技術、後世に継ぐ<ニュースはじめの一歩> 50年ほど使用されている年季の入った高機(たかはた)で製織する新垣幸子さん=7月19日、石垣市登野城
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 最近、八重山上布の作り手で染織家の新垣幸子さんが人間国宝に選ばれるとのニュースを見ました。人間国宝って何ですか?

A 人間国宝とは、国の重要無形文化財に指定された伝統工芸や演劇、音楽などの分野で極めて高度な技術を持つ人を、国が文化財保護法に基づき認定した個人の通称です。

 年に1回、有識者でつくる国の文化審議会が答申し、文部科学相が認定します。

 国の文化審議会は7月19日、県指定無形文化財の「八重山上布」を国の重要無形文化財に指定し、八重山上布保存会代表で染織家の新垣幸子さん(78)を保持者(各個認定)=人間国宝=に認定するよう文部科学相に答申しました。新垣さんが認定されると県内の人間国宝は11人、故人を含めると18人となります。

 八重山上布は石垣島などで栽培される苧麻(ちょま)を原材料に、紅露(くーる)やフクギなどの植物を染料に草木染めによって織り上げられる麻織物で、括染(くくりぞめ)と呼ばれる伝統的な染色技法が用いられています。

 歴史は古く、琉球王国時代には首里王府に納められていました。

 時代の流れとともに伝統技法は一度途絶えましたが、新垣さんは文献などを基に、独自で調査研究し、括染の技法を復活させ、これまで自然豊かな八重山の風景、色彩を上布に投影してきました。

 文化審議会は新垣さんについて「伝統的な八重山上布の技法を高度に体得し、卓越した技量を持つ染織作家として活躍している」と評価しました。