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【深掘り】辺野古の工事費、競争原理働かず 契約変更重ね、更に増える可能性も 沖縄


【深掘り】辺野古の工事費、競争原理働かず 契約変更重ね、更に増える可能性も 沖縄 辺野古新基地建設で多くの作業船が集まる大浦湾=7月3日、名護市
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 名護市辺野古の新基地建設に向けた大浦湾での護岸工事で、20日にも見込まれる工事着手を前に契約が変更され、大幅な増額となっていた。契約変更は業者と防衛局の間での調整で決まるもので、競争入札とは異なり競争原理が働かない。公平性や透明性の上で課題があり、予算を必要最小限に抑える入札制度をゆがめる恐れも指摘されている。

 辺野古新基地建設は、当初の埋め立て承認から、軟弱地盤改良の設計変更などが必要となり、事業費は増大する懸念が強まっている。防衛省は2019年、総事業費は約9300億円になると説明した。地盤改良工事の追加で14年に説明していた3500億円から約2.7倍に膨れあがった。

 変更契約を重ねて当初の契約額より大幅に増額する例は、これまでも新基地建設事業で相次いでいる。今回増額が判明したのは大浦湾の護岸の一部。過去には複数回の変更契約で増額を重ねた例もあり、事業完了までにはさらに増える可能性がある。

 沖縄平和市民連絡会のメンバーで土木技師の北上田毅氏は「未着工の段階でこれだけ増えるのは大問題だ。入札の趣旨を考えれば、再度競争入札にかけるべきではないか」と問題視している。

 本紙は防衛局に増額の詳しい理由を問い合わせている。大規模な地盤改良工事を予定していて国内にある作業船では足りないため、防衛省が船の改造費を負担することになっている。この支出も変更契約で対応することになっているが、過去に防衛省の受注業者がまとめた資料で改造費は1隻当たり数億円規模とされていた。


 (知念征尚、明真南斗)