氏名が判明しているだけで児童を含む1484人の尊い人命が奪われた対馬丸撃沈から80年の節目を迎えた22日、学童らを慰霊する小桜の塔で慰霊祭が開かれた。来賓として弔辞を述べた玉城デニー知事、自見英子沖縄担当相、知念覚那覇市長、県遺族連合会の我部政寿会長は、二度と悲劇を繰り返さないという非戦の決意を誓った。
玉城デニー知事
今から80年前のこの日、幼い子どもたちを乗せた対馬丸は米潜水艦による攻撃を受けて海中に没し、判明しているだけで学童784名を含む1484名の尊い命が失われた。対馬丸記念館に展示されているあどけない子どもたちの遺影を見るたびに、胸が詰まる。
最愛の親兄弟と別れ旅立った子どもたち、不安を抱えながらも疎開させることを決意したご遺族の無念さと深い悲しみ、憤りはいかばかりかと察するに余りある。
沖縄県として、痛ましい悲劇が二度と繰り返されることのないよう、非戦の誓いと世界の恒久平和の実現に向けて今後も全身全霊をささげていくことをあらためて誓う。
自見英子沖縄担当相
平和は当たり前のものではない。生存者やご遺族の方々の高齢化が進む中、沖縄戦の悲劇の象徴である対馬丸事件の記憶や教訓を、今を生きる同じ年代の子どもたちにも自分事として感じてもらい、遭難学童への哀悼や世界の恒久平和の願いを発信し続けていくことは本当に重要だ。
子どもや若者を含む多数の尊い命が失われる戦争を二度と繰り返さないという強い決意の下、世界の誰もが平和で心豊かに暮らせる世の中の実現に向け、不断の努力と対話を続け、沖縄の振興に力を尽くすことが沖縄担当大臣である私の責務であり、この決意を貫き、後世に伝えていくことをあらためて御霊に誓う。
知念覚那覇市長「沖縄戦の実相伝える」
月日がたとうとも、この日が来るたびに犠牲となられた方々、大切なわが子の無事を願い、遠方へと送り出した親御様やご家族の深い喪失感に思いを致し、悲しみを禁じ得ない。鎮魂の碑に込められた恒久平和を願う切なる思いを決して忘れてはならない。
各地で紛争や戦争が絶えないこの世界で、今を生きる私たちには沖縄戦の実相を正しく、二度と愚かで悲惨な戦争を起こさないという固い非戦の決意を次の世代へ継承し、平和な未来を築いていく責任がある。
幾世まで、うまんちゅが安心して暮らしていける社会づくりに全力で努めること、これからも全世界の恒久平和を希求し続けることを誓う。
我部政寿県遺族連合会会長「心の傷今も癒えない」
戦争という悪魔によって、未来に向けて大きな夢と希望が断たれてしまった学童。親の愛情を一身に受けて育むはずだった幼児や、いたいけな子どもたち。弱いあなた方が犠牲になり、さぞ無念だったことでしょう。
肉親やわが子を亡くしたご遺族の心情を察すると、その心の傷はあまりにも深く、今もって癒えることはない。二度と対馬丸のような悲劇がおこってはならない。
対馬丸を平和への道しるべとして、県遺族連合会としても、再びこの忌まわしい戦争の惨禍が繰り返されないよう決意を新たにし、世界恒久平和実現のため、なお一層努力していくことを固く誓う。