有料

【記者解説】自衛隊増強を加速の姿勢 都道府県別で最大、前年の2倍超 2025年度予算概算要求


【記者解説】自衛隊増強を加速の姿勢 都道府県別で最大、前年の2倍超 2025年度予算概算要求 自衛隊(資料写真)
この記事を書いた人 Avatar photo 明 真南斗

 防衛省が決定した2025年度予算の概算要求には、県内での自衛隊増強を加速させる姿勢が表れている。県内の施設整備費は、都道府県別で最大の約1108億円に上る。24年度予算の約473億円と比べても2・3倍に当たる。

 概算要求に盛り込まれた陸上自衛隊石垣駐屯地(石垣市)への電子戦部隊配備によって、県内でミサイルが配置されている全ての島に電子戦部隊が置かれる。陸自那覇駐屯地では既存の電子戦部隊を増強しつつ、新たな「対空電子戦部隊」を新編する計画だ。

 対空電子戦部隊は、22年末に決定された新たな安全保障関連3文書で新編が打ち出された。既存の電子戦部隊と異なって対航空機に特化しており、電磁波を使って相手の航空機を無力化する。

 防衛省は従来の「空白を埋める」取り組みを終え、これまで整備してきた自衛隊施設を足場として増強を進める段階に入っている。

 それだけでなく、新たな施設確保も見据えて適地を探す事前調査費も概算要求に盛り込み、さらなる拡大を目指す意欲を鮮明にした。

 防衛省が部隊を増強させる背景には中国軍の行動拡大がある。26日には中国の情報収集機が約2分間、日本の領空を侵犯した。中国と日米の双方が軍事活動や訓練・演習を活発化させることで、沖縄の基地負担を増大させてしまう。双方には冷静な対応が求められる。

 (明真南斗)