宜野湾市長に就く佐喜真淳氏は、市の中心に位置する米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設を容認し、一日も早い閉鎖・返還の実現を最重要政策に掲げた。基地返還跡地の西普天間住宅地区に琉球大学病院が移転して来年1月に開院が迫る中、跡地利用による地域活性化を訴えたことが保守層や無党派層への支持拡大につながった。
一方、1996年の日米両政府による普天間飛行場の返還合意から28年が経過し事実上固定化する中、選挙戦で訴えた普天間返還に道筋を示せるのか、注目が集まる。
佐喜真氏は2018年に任期途中で市長を辞職して知事選に挑み落選。今回再び市長選に出馬したことから「出戻り選挙」と反発する声もあった。だが温和な人柄で行政手腕が高かった故松川正則市長の市政継承を訴えたことで、反発を和らげることにつながった。
市議会構成は与党系が多数を占め、6年ぶりの佐喜真市政は安定的に市政を運営していくことが見込まれる。
一方、佐喜真氏は公約で普天間飛行場返還までの間の危険性除去に向けて、政府に対して返還時期の明示を求めるとともに、埋め立て工事が進む米軍キャンプ・シュワブへの常駐機の段階的移駐、県外への訓練・常駐機の移転を進める考えを示した。「政府に対して言うべきことは言い、求めるべきことは求める」と強調した。
だが新基地建設は大浦湾側の軟弱地盤による難工事が見込まれ、政府は明確な工期は示さず、過重な基地負担を抱える市民のために掲げた基地負担軽減策を実現させることができるか、手腕が試される。
(梅田正覚)