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【記者解説】石破政権が始動 「パンドラの箱」日米地位協定の改定へ、問われる手腕


【記者解説】石破政権が始動 「パンドラの箱」日米地位協定の改定へ、問われる手腕

 新内閣が発足し、記者会見する石破茂首相=1日午後9時4分、首相官邸

この記事を書いた人 Avatar photo 明 真南斗

 1日、石破政権が発足した。今後、石破茂首相が総裁選で掲げた日米地位協定の改定に取り組む本気度が問われることになる。最大の壁は、政府内や与党内の抵抗勢力となる見込みだ。

 地位協定改定は「パンドラの箱」と言われ、外務省をはじめとして政府内で根強い忌避感がある。だが、地方自治体からは改定を求める声が大きい。沖縄だけでなく、全国知事会でも抜本改定を含む政府への提言が採択されている。政府内の抵抗よりも、国民の声を優先することが求められている。

 石破氏は2002年に発足した自民党国会議員による日米地位協定の改定を目指す議員連盟で顧問に就任。当時から改定の必要性を公言していた。だが、直後に入閣すると「政府の立場に一切変わりはない」とトーンダウンした経緯がある。首相に就いた今、改定方針を堅持できるかどうかが焦点だ。政府・与党内に根強い慎重論に押されてうやむやにすれば首相の存在意義が揺らぐ。

 石破氏が念頭に置く改定内容は明らかになっておらず、実質的に基地負担を軽減する改定要求になるかも不透明だ。今後、明らかになるとみられる検討の進め方や内容に注目したい。

 改定交渉に進めたとしても油断はできない。文言が代わっても実質的に特権が温存される可能性もあるからだ。軽微な文言修正と引き換えに日本側が別の取り決めをのまされる事態となれば、基地負担軽減に逆行する恐れがある。 

(明真南斗)