2016年に名護市安部沿岸部での米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイ墜落事故で、捜索救難活動に参加した航空自衛隊の部隊が報告資料で、政府見解と異なる「墜落」と表記していたことが5日までに、分かった。政府はオスプレイの事故について「不時着水」と矮小(わいしょう)化している。
事故は16年12月13日に発生。訓練中のオスプレイが名護市安部沿岸部に墜落し、大破した。米海兵隊は当初「オスプレイが墜落した可能性がある」と空自に第一報を発した。だが、在沖米海兵隊は「浅瀬にオスプレイが着水」と広報した。日本政府も稲田朋美防衛相(当時)が「コントロールを失った状況ではなく、パイロットの意思で着水したという説明を現時点で受けている」と米側の説明を引用し「不時着水」だと強調していた。
資料は、事故の翌日の16年12月14日付で、墜落機の救難活動に参加した航空救難団司令部がまとめた。琉球朝日放送が情報開示請求で入手してウェブサイトで公開した。表題に「米軍機(MV22)墜落に係る災害派遣」とある。
中谷元・防衛相は5日の会見で、この資料について「防衛省として事故の評価をしたものではない」と述べた。航空自衛隊は5日、琉球新報の取材に「誤って表記した」と答えた。
沖縄防衛局は事故発生直後、名護市に対して「オスプレイが墜落した」と伝達していた。その後、日米両政府は機体が制御できていたとして「不時着水」だと主張した。だが、事故調査報告書にも「墜落(crash)」と手書きのメモで記されていた。県内の報道機関や米メディアは「墜落」と報じてきた。
(明真南斗)