【那覇】知念覚那覇市長はこのほど、琉球新報の新春インタビューに応じた。2024年の抱負について、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進による行政サービスの拡充や市経済の発展、子育て支援の拡充などを訴えた。子育て支援の具体策として、学級費の公費負担や小学校高学年を対象にしている「まなびクーポン事業」の対象を広げる考えなどを示した。
―23年を振り返って。
「各種イベントが復活し、活気が戻りつつある中、物価高騰もあり、兼ね合いをつけながらの市政運営に苦心した」
「国との関係では、外務省や内閣府、防衛省と対話を重ねることで信頼関係を築けた。対話を欠かさないのが基本路線だ。外務省とは国連機関の誘致に向けて意見交換を重ね、防衛省との連携によって、米軍訓練の事前通告が寄せられるようになった。内閣府との対話を通じて、市立病院建設に向けたハード交付金に関して、本年度補正予算で約11億円を確保した。市政運営の中で予算は重要であり、しっかり確保できた」
―公約で既に着手・実行できたものと、24年度予算案に盛り込む事業は。
「公約で掲げた98の項目のうち、90件は着手済み、あるいは達成した。未着手や検討中の8件のうち、次年度から取り組む事業として、フードバンクなど子どもの居場所づくりがある。これまで民間が主導してきたが、継続性を保てるスキームをつくりたい。DX関係では、昨年4月にDX推進計画を策定したので、次年度以降具体的な事業を検討したい」
「市まなびクーポン事業の対象を現行の小学4~6年から中学生全学年にまで拡充する。さらに、保護者の経済的負担を軽減するために学級費を公費負担する。学級費の公費負担は教職員の負担軽減にもつながる」
「福祉、子ども健康部門では、『こどもの相談』に関する各種施策を総合的に行う『こども家庭センター』の8月開所を目指している。ヤングケアラー問題、子どもの貧困、出産、子育て支援、若年妊産婦の居場所づくりなどに取り組む」
「翁長市政、城間市政から続く『協働によるまちづくり』について、昨年10月に15校目となる小学校区まちづくり協議会が市金城に誕生した。まちづくりの基礎となる各小学校校区の協議会をつくりながら、最終的には地域包括ケアシステムにつなげたい」
―那覇軍港の跡地利用計画について。
「地権者が1400人程度いるが、合意形成を図りながらの跡地利用計画づくりが大切だ。地主会と足並みをそろえ、時代の変化を見据えながら多様化に耐えられるまちづくりをしたい」
―県都那覇市の振興に関する協議会の開催時期は。
「協議会は、那覇市がこれまで軍港を預かってきた部分と返還後の軍港のまちづくりの両方をにらんだ振興協議会になっている。国からは跡地利用の新たな計画を含めた振興に関する協議会を進めていきたいとの提言がある。二つを同時に進めるためにも年度内の開催にはこだわらない」
(聞き手 吉田健一)