亡くなった画家の夫を思い… 比嘉道子さんが琉歌集出版 祝賀会 北中城 沖縄


亡くなった画家の夫を思い… 比嘉道子さんが琉歌集出版 祝賀会 北中城 沖縄 琉歌集を出版した比嘉道子さん。横の作品は夫の鶴喜八郎さんが描いた比嘉さん=北中城村
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【北中城】琉歌集「愛(かな)し思里(うみさとぅ)」(新星出版)を出版した比嘉道子さん(73)の出版祝賀会がこのほど、北中城村のEMウェルネス暮らしの発酵ライフスタイルリゾートで開かれ、琉歌仲間や知人らが祝った。歌集は亡くなった夫で画家の鶴喜八郎さんへの思いを詠んだ歌などをまとめた。

 「しまくとぅば」を残したいという思いで琉歌を10年間続けてきた比嘉さんは、那覇市首里で活動する御茶屋御殿琉歌研究会で平山良明さんから学んだ。歌集にはこれまで詠んだ歌も載せた。

 タイトルの「愛し思里」は尊敬して、とても大切な人を意味するという。表紙の琉装をした比嘉さんの肖像画をはじめ、一つ一つの琉歌の横には夫・鶴さんが製作した絵を添えた。「夫と向き合い、語るように編集した」と懐かしむように振り返った。

 35年連れ添った鶴さんはがんのため、2017年1月に70歳で亡くなった。比嘉さんにとって「命同然でかけがえのない人」だった。家計は苦しかったが絵を描く鶴さんを愛していた。2人の生活には「豊かさと感動」があり、作品が出来上がると「自分のことのようにうれしかった」と語る。歌集に掲載された作品には打ち上げ花火や桜など、2人で見た景色も多い。

 夫の死を悲しみ、苦しんだ時に詠んだ「桜木の精なて 里や目笑い あの世との境界(さけー) 壊しぶしやむ」には、北中城村石平の桜並木を描いた鶴さん最後の作品を添えた。

 比嘉さんは「男にも女にも欠点がある。それをどう補うかが大事だ。夫婦のありようが良くなればうれしい」と、琉歌を知らない人や大事な人がいる人に手にとってほしいと呼びかけた。県内の主要書店で販売している。

 (名嘉一心)