西原町我謝で11日、五穀豊穣(ほうじょう)や区民の無病息災などを祈願する我謝大綱曳が開催された。観客を含めて約300人が参加した。全8班からなる区を4班ずつに分け、親戚や門中などに応じて上割(いーわい)と下割(しちゃわい)に分かれて、約40メートルの大綱を引いた。勝負は90秒で決着し、上割が2019年以来の勝利を収めた。
我謝の大綱曳は、約480年の歴史があるとされる。上割がリンゴー(雄綱)、下割がウフカー(雌綱)をなう。大綱のカニチ(頭部)の美しいつくりは、「我謝巻」と呼ばれる技法で作られている。近年、旧暦6月25日付近の休日に実施していたが、ことしはわらの到着が遅れ、開催が1週間ずれ込んだ。
大綱曳当日の午後6時過ぎ、我謝公民館前の道路へ、東西から旗頭を先頭にして大綱が運ばれてきた。旗頭のガーエーに続き、子どものシタクを3人ずつ乗せた雄綱と雌綱が中央に運ばれて合わさる。カニチ棒が突き刺さると、綱がストンと下に落とされ、勝負が始まった。真剣勝負の1回目は、開始早々に綱を自陣へ引き寄せた上割がそのまま勝ちを決めた。2回目は下割が勝った。女性たちの歌や鳴り響くソーグ(かね)とカニ(どら)が、勝負を彩った。
上割の小橋川清さん(71)は「与那原大綱曳と同日だったら、与那原方面から見に来る人がそのまま下割の綱を引くから勝てなかった」と冗談を言い「最高の1年になると思う」と笑顔を見せた。
上割の呉屋武彦実行委員長は「5年ぶりに勝てて良かった。来年以降もずっと勝ちたい」と汗を拭った。
玉那覇一好我謝区長は「天候にも恵まれ、けがもなく終わったのでホッとした」と話した。
(藤村謙吾)