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Awichさん、逆境の中でも「可能性諦めないで」 中高生ら450人にエール 教育プロジェクトや米国での経験語る 沖縄


Awichさん、逆境の中でも「可能性諦めないで」 中高生ら450人にエール 教育プロジェクトや米国での経験語る 沖縄 県内の生活困窮世帯の若者に対して留学を無償提供するプロジェクトへの思いを語るAwichさん(左)=9日、恩納村の沖縄科学技術大学院大学
この記事を書いた人 Avatar photo 玉寄 光太

 那覇市出身のラッパーAwich(エーウィッチ)さんが9日、恩納村の沖縄科学技術大学院大学(OIST)で講演会を開いた。

 自身が企画した、困窮世帯への留学無償提供のプロジェクトにかけた思いや、米国での経験などを語った。県内の中高生、大学生ら約450人が熱心に耳を傾けた。Awichさんは「逆境の経験が人を感動させるストーリーになる。可能性を諦めないでほしい」とエールを送った。

 プロジェクトは「Know The World―Awichグローバル教育プロジェクト(アトランタ留学&まちなか留学)」で、子どもの貧困問題や体験格差の解決に向けて始まった。国際交流事業に取り組む「HelloWorld」(沖縄市)との共同で実施した。

 県内の高校1年生から満22歳の100人に、8、9日に沖縄在住の外国人宅にホームステイする「まちなか留学」を無償提供した。参加者の中から3人を選び、8月上旬に無償で米アトランタへの短期留学も予定している。Awichさんはプロジェクトについて「子どもを取り巻く環境は多くの課題がある。いろいろな世界を見るきっかけになってほしいと思い発足させた」という。

沖縄科学技術大学院大学で講演したAwichさん=9日、恩納村の沖縄科学技術大学院大学

 米国での経験も話した。留学で訪れたアトランタで米国人と結婚し、娘を出産した。しかし、インディアナポリスに移り住んだ後、夫と死別した。苦しみの中で唯一続けたのは、日記を書くことだった。「日記で自問自答を続けながら、逆境を自分の力に変えていった。自分がつらいと思っていることは人にはない財産だし、あなただけのストーリーだ」と力を込めた。

 現在、グラミー賞獲得に向けて動き出している。その中で大事にしていることも「自問自答」だという。「日記などで動機を確認し続けることを習慣にしてほしい。『本当にやりたいか』『なぜやりたいか』を問い続け、不安も書き出して答えていく。そうすると、やりたいことが固まってぶれなくなる」と話した。

 参加者からの質問も受け付けた。球陽高校2年の生徒(16)は「新しい挑戦の際、どうすれば揺るがないでいられるか」を聞いた。Awichさんは「その先にある夢や目標をしっかりと持ち続けることが大事」とアドバイスした。

 Awichさんは「逆境の中で、私には無理だと諦めている人が多いと思う。だけど、そこからが大事で、はい上がってほしい。それを経験したからこそ、苦しみを抱える人の心に触れるし、そういう人たちの言葉が世界の人々の胸に響くと思う」とエールを送った。 

(玉寄光太)