県と市町村などが事業運営する主要水道管(管路)のうち、2021年度末時点で約7割が必要な耐震性を満たしていないことが、厚生労働省の調査で分かった。
震度6強程度の地震に耐えられる「耐震適合率」が30・4%で、全国平均の41・2%と比べても大きく下回っている。沖縄県保健医療部衛生薬務課によると、県内全域で老朽化による管路更新の必要性が高まっているという。
1月に発生した西原浄水場を給水源とする地域での断水・供給不良問題は、うるま市昆布の導水管漏水だった。漏水の原因は特定されていないが、老朽化による腐食の可能性が指摘されている。
県内では2010年2月に糸満市で震度5弱、那覇市や名護市でも震度4を観測した地震が発生し、広範囲で水道管が破裂するなどの被害があった。23年には恩納村で管路の老朽化による漏水のため一時断水があった。
厚労省の調査によると、県内の主要水道管の総延長は2041・16キロ。そのうち、県企業局の管路は約700キロで、耐震適合率は43・8%だった。上水道事業を担う地域別では、那覇市が61・9%、宜野湾市が51・7%、沖縄市が38・3%、南部水道企業団が33・8%、うるま市が23・3%、豊見城市が19・3%、名護市が16・8%、浦添市と糸満市が14・6%だった。県全体では前年度比0・4ポイント増だった。
県内全域で管路更新の必要性が高まる一方、水道事業が沖縄振興公共投資交付金(ハード交付金)での取り組みとなっており、予算の減額の影響もあり進んでいないという。施設整備などを優先する自治体もあり、管路の耐震化の進み具合に差が生じている。
沖縄県保健医療部衛生薬務課の担当者は「老朽化など全国的に同様の問題を抱えているが、能登半島地震でも被害があったように喫緊の課題だ。国には引き続き予算を要望していきたい」と述べた。
国は28年までに全国の適合率60%を目標に掲げているが、今回の調査でも前年比0・5ポイント増の41・2%で、進みは鈍い。
(新垣若菜)