「嘉手納降下、毎月1回」 米司令官 伊江修復まで継続


「嘉手納降下、毎月1回」 米司令官 伊江修復まで継続
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 地元自治体や県が再三、実施しないよう求めている米軍嘉手納基地でのパラシュート降下訓練について、同基地を運用する米空軍第18航空団の司令官ニコラス・エバンス准将は26日、「当分、毎月1回行い、次回は5月末を予定している」と訓練の継続を表明した。同日、玉城デニー知事や嘉手納町議会が常態化への懸念と抗議を示したばかりだった。

 基地内で報道各社のインタビューに応じたエバンス司令官は伊江島補助飛行場の修復が完了するまで、嘉手納基地で訓練し続けると説明した。修復のめどについては明言を避けた。

 嘉手納基地の兵士は既にアメリカなどでも降下訓練を実施しており、県外・国外での訓練実施についても「考えている」としたが、嘉手納での任務もあるため、全員を県外で訓練させることができないとした。

米軍嘉手納基地でインタビューに答える、空軍第18航空団の司令官ニコラス・エバンス准将

 玉城知事は26日午前の定例記者会見で、5カ月連続の訓練強行について5月前半にも日米両政府に対して知事自身が厳重な抗議と申し入れをする意向を示した。同日夕、司令官発言について「急ぎ確認するように指示している」とした上で、日米両政府への要請について「5月末にもしも(訓練を)するのなら、中止を含めた要請になる」と話した。

 沖縄市、嘉手納町、北谷町でつくる「嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会」(三連協)桑江朝千夫沖縄市長は「地元に伝える前に大衆の前で発してしまうのはいかがなものか。地元自治体との意思疎通を図ってほしい」と訴え、「三連協としては今後の対応を検討しなくてはならない」と方針を示した。

 嘉手納町議会は「常態化する米軍パラシュート降下訓練に厳重抗議する意見書」を26日、全会一致で可決したばかり。當山均基地対策特別委員長は「訓練の定例化を懸念し、住民の代表である議会で要請行動をしてきたが、懸念が明確になった」と話した。

 降下訓練は1996年の日米特別行動委員会(SACO)で伊江島補助飛行場での実施を合意しており、2007年に「嘉手納基地を例外的な場合に限って使用」すると追加合意していた。

 昨年12月から5カ月連続の実施に「例外」に当たらないなどとして自治体や県は中止を求めていた。