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母親の「里帰り出産」に同行したら保育所は退所になる? 栃木県内25市町で対応は違っていた(下野新聞提供~JODパートナー社から~)


母親の「里帰り出産」に同行したら保育所は退所になる? 栃木県内25市町で対応は違っていた(下野新聞提供~JODパートナー社から~) イメージ
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母親の「里帰り出産」に幼い子どもが同行すると、長期欠席が理由で保育所を退所になってしまうのか―。栃木県宇都宮市在住の30代女性から、こんな投稿が下野新聞「あなた発 とちぎ特命班」(あなとち)に届いた。投稿を受け、県内25市町を取材すると、6割に上る15市町が長期欠席した場合「原則退所」「退所になる場合がある」と回答。「退所にならない」は8市町だった。なぜ?

 投稿者の女性は夫と1歳の長男の3人暮らし。出産時は産前産後の約4カ月間、県外の実家に「里帰り」した。夫は多忙のため「両親のサポートに助けられた」と振り返る。

 第2子を授かった場合も「長男を連れて里帰り出産したい」と考えていた。しかし今春、居住する宇都宮市の制度を調べたところ、月に1度も登園しない場合は原則退所扱いになると知った。

 同市は取材に対し「恒常的に保育が必要な場合に在園を認めているため」などと説明した。法律上、保育を利用する場合の支給認定などが原則月単位となっていることも根拠とする。里帰り出産が理由で退所に至ったケースもあるという。

 こども家庭庁は長期欠席の対応に関し、「個々の状況に応じて各自治体が判断するもの」としている。

 県内の他市町はどうか。取材すると同市を含む4市町が、里帰り出産が理由でも一定期間を超えた場合は「原則退所とする」と回答。「家庭での育児が可能と判断できる」「より必要性の高い世帯の入所につなげる」などがその理由だ。うち3市が長期欠席による退所について規定を設けており、鹿沼はその期間を「1カ月以上」、小山は「2カ月超」とする。

 原則ではないが、「退所になる場合がある」としたのは11市町。一方、「退所にならない」と回答したのは8市町で、栃木市は「戻るのが前提であれば一律で退所の扱いにはしない」とした。個別の事案によるなどの「その他」と回答したのは2市町だった。

 妊娠や育児に関する情報を発信する「ゼクシィBaby」が2歳児までの母親を対象に実施したアンケートによると、里帰り期間は「1カ月以上2カ月未満」が最多の31%。1カ月超の退所基準がある市町の場合、保育所に戻ることはかなわなそうだ。

 救済措置はないのだろうか。鹿沼市は「希望があれば再入所を優遇する」と回答。宇都宮市は先月、退所となる欠席期間を10月からは従来の倍に延ばすことを決めた。同市の担当者は「里帰り出産や外国籍で長期帰国する場合など、さまざまな事情に配慮したい」と話すなど、個々の事情に対応し見直す動きも出ている。

 取材した結果を女性に伝えると、「2カ月に変更されれば計画が立てやすくなる」と歓迎。「1度退所になるとスムーズに再入所できるか不安。選択肢が多いほど安心できるので、行政には柔軟に対応してほしい」と語った。

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