【動画】まるで忍者!沖縄の夜の海にはスゴいやつらがいた〈沖縄・海の生き物たちvol.12〉


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イノーの夜の忍者ガニ

3月になると、そろそろ夜のイノー歩きも終わり。潮がよく引くのが昼間に切り替わっていきます。水温が温かくなるにつれ、生き物たちが次第に活発になるので、海の観察がとても楽しくなってきますよ。

今シーズン最後の夜の海歩きに行ってきました。海草や海藻の茂る砂地に、ちょろちょろと動くものがいます。横幅わずか3センチ足らず。甲羅は平べったくて横に尖っていて、さっきまで赤い色をしていたのが、ライトを当てるとみるみる白い砂色に変わります。オオメテナガヒメガザミです。白くなって砂地にじっとしていると、ちょっと目を離したらもうどこにいるか分からない、完全にカモフラージュの体。おまけにこの仲間は、砂に潜るのが上手です。

潜るのに使う道具は後ろ足。平べったい形で、砂を上手に掘ります。足で掘りながら、体を震わせて砂を被り、目ん玉と触角だけを出してすっかり隠れてしまいます。こうなったら、じっと見つめていてもどこにいるのか分からないほど。素晴らしい忍者!

この後ろ足、実は泳ぐのにも使うので、遊泳脚(ゆうえいきゃく)と呼ばれます。カニなのに、海底を歩き回るだけでなく、泳ぐんですよ。そうそう、みなさんがおつゆにして食べるワタリガニも、ガザミの仲間。今度、足の形をじっくり眺めてみてくださいね。

Vol. 12 オオメテナガヒメガザミ

Portunus (Xiphonectes) macrophthalmus

● 目:短尾下目 Brachyura

● 科:ガザミ科 Portunidae

● 属:ガザミ属 Portunus

 

動画撮影:
オオメテナガヒメガザミ 2019年2月18日 場所:カーミージー(浦添市)
サメハダヒメヒメガザミ 2019年2月18日 場所:カーミージー(浦添市)

動画撮影・編集&執筆

鹿谷法一(しかたに・のりかず しかたに自然案内)

琉球大卒、東大大学院修了、博士(農学)。広島に生まれ、海に憧れて1981年に沖縄へ。専門はカニなどの甲殻類。生き物の形とはたらきの関係に興味がある。最近は、沖縄の貝殻を削って磨くシェルクラフトを行っている。

鹿谷麻夕(しかたに・まゆ しかたに自然案内)

東洋大、琉球大卒。東大大学院中退。東京に生まれ、20代半ばでサンゴ礁に興味を持ち、1993年に沖縄へ。2003年より、しかたに自然案内として県内で海の環境教育を始める。しかたに自然案内代表。手作りぬいぐるみで海を伝える、あーまんシアターも主宰。

 

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