【動画】外出時はお顔をきれいに?!砂だらけなのにきれい好きなミナミコメツキガニ <沖縄・海の生き物たちvol.16>


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まん丸の体をクルックル

潮が引いた広ーい干潟。平らな砂地に目をやると、1センチくらいの小さなつぶつぶがうじゃうじゃと動いていませんか。集団で歩くので「軍隊ガニ」と呼ばれることもある、ミナミコメツキガニです。でも、軍隊なんて言葉は全然似合わない、ユニークなカニなんです。

まず、カニなのに前歩きします!普通のカニは、平たい体から横向きに足が4本も並んで、前に歩こうとすると足同士がぶつかって邪魔です。でも、ミナミコメツキガニの体はボールみたいにまん丸。前歩きをしても、足がぶつからないんです。そして、わりと臆病者。人が近づくと、あっという間に丸い体をくるくると回転させて、砂に潜って隠れます。器用に足を使って砂をすくい、ちゃんとフタをしていく様子はお見事。右回りと左回り、どっちが多いか見比べるのも面白いですよ。

砂から出てくるときのしぐさもユニーク。まず、小振りのハサミを使って顔を念入りに掃除します。砂に潜るカニなのに、出歩くときに顔が砂だらけは嫌なんですね!そして一瞬、「どっこいしょ」という感じで甲羅の下側を砂地につけます。実はここに毛が一列生えていて、これで砂地の水分を吸収するんです。水は、足の付け根から甲羅の下に入り、鰓(えら)を湿らせて、口から吐き出されます。砂からエサを選り分けて食べる時にも、この水を使います。よくカニが泡を吹く、と言いますが、これは体の水分が足りず、吐き出す水がネバネバしてきた証拠。そういうカニは、水につけてあげると喜ぶはずですよ。

Vol. 16 ミナミコメツキガニ

Mictyris guinotae

● 目:十脚目 Decapoda

● 科:ミナミコメツキガニ科 Mictyridae

● 属:ミナミコメツキガニ属 Mictyris

 

動画撮影:ミナミコメツキガニ
2010年6月17日(宜野座村・松田干潟)
2019年4月21日(うるま市・海中道路)
2019年5月19日(沖縄市・泡瀬干潟)

動画撮影・編集&執筆

鹿谷法一(しかたに・のりかず しかたに自然案内)

琉球大卒、東大大学院修了、博士(農学)。広島に生まれ、海に憧れて1981年に沖縄へ。専門はカニなどの甲殻類。生き物の形とはたらきの関係に興味がある。最近は、沖縄の貝殻を削って磨くシェルクラフトを行っている。

鹿谷麻夕(しかたに・まゆ しかたに自然案内)

東洋大、琉球大卒。東大大学院中退。東京に生まれ、20代半ばでサンゴ礁に興味を持ち、1993年に沖縄へ。2003年より、しかたに自然案内として県内で海の環境教育を始める。しかたに自然案内代表。手作りぬいぐるみで海を伝える、あーまんシアターも主宰。

 

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