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カイコで「畜産用ワクチン」開発 養蚕業シンポで報告 沖縄


カイコで「畜産用ワクチン」開発 養蚕業シンポで報告 沖縄 カイコ含む絹糸昆虫による新産業の可能性について発表する瀬筒秀樹氏=15日、那覇市
この記事を書いた人 Avatar photo 玉寄 光太

 沖縄県内での養蚕業の可能性を探るシンポジウム「カイコの大きな可能性~新産業(新蚕業)創出へ」が15日、那覇市ぶんかテンブス館テンブスホールで開催された。農研機構の絹糸昆虫高度利用研究領域長の瀬筒秀樹氏は「絹糸昆虫による新産業創出の可能性」と題して基調講演し、絹糸を用いた畜産用経口ワクチンの開発などについて報告。瀬筒氏は「ワクチンだけでなく飼料の面でもカイコを県内養豚業などに活用していければ」と語った。
 同機構は、カイコの遺伝子を組み換えることで病原菌の抗原を含むシルクを作らせることに成功。このシルクを飼料に混ぜ込むことで、経口ワクチンとして畜産業での
利用が期待できるという。
 今帰仁村で在来種アグーを育てる農業生産法人今帰仁アグーの高田勝社長は「沖縄の小規模養豚経営におけるウイルス等の影響及び沖縄の豚について」と題して講演。2020年に県内で発生した豚熱の流行に触れ、食料供給や農家の離農などに問題が出たと指摘した上で「経口ワクチンが予防につながるのなら助かる」と述べた。
 シンポジウムは沖縄イノベーション・エコシステム共同研究推進事業(感染症分野)の受託共同企業体が主催。代表を務める沖縄UKAMI養蚕の仲宗根豊一社長は「研究成果を事業化し世界に発信することで、県経済だけでなく日本の経済の活性化につながるだろう」とあいさつした。 

(玉寄光太)

※高田勝社長の「高」は旧漢字