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「痛手大きい」「いつ通常通りに」 導水管の漏水事故、食品や製鉄工場の操業がストップ 長期化を懸念


「痛手大きい」「いつ通常通りに」 導水管の漏水事故、食品や製鉄工場の操業がストップ 長期化を懸念 拓南製鉄の製鋼工場(資料写真)
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 うるま市内での導水管の漏水事故で、工業用水の供給が一時止まり、生産活動の中断を余儀なくされた企業が出ている。県が導水管の復旧作業に入るために18日午後5時から再び断水が始まり、長期化を懸念する声が上がっている。

 自社の貯水タンクなどでの備蓄分で乗り切る企業も多いが、大量の水を必要とする業態の製造現場では影響が広がっている。県内唯一の鉄鋼業の拓南製鉄(沖縄市)は、17日夜から製造を停止。製鉄の工程ではスクラップを1600度の高温で溶かして鋳型に流し込んだ後、鋳物を冷却するため大量の水が必要になる。工業用水の供給が不安定な状況下では製造困難と判断した。

 現段階で影響額は不明だが、担当者は「こうしたことは初めて。いつ通常通りになるのか分からず、不安だ」と話した。

 豆腐やこんにゃく、もやしを扱う、まえさと(西原町)は、普段1日500トンの工業用水の供給を受けている。17日午前8時から午後9時ごろまで断水したため、製造は夜間に実施。通常も夜間に稼働しているが、この日は水の状態を確認する作業が必要となった。

 19日の製造は中止となり、大豆約1トンを処分せざるを得なくなった。担当者は「痛手は大きい」とため息を漏らした。

 工業用水の供給エリアには発電所も立地する。発電の過程で冷却水を使用するが、沖縄電力によると、具志川火力発電所(うるま市)や吉の浦火力発電所(中城村)では工業用水をためるタンクがあり、電気の安定供給に影響はないという。

(當山幸都、與那覇智早、玉寄光太)