今帰仁村古宇利島の沖合に、JTB沖縄(桂原耕一社長)が人工浮島(ポンツーン)を設置する計画を巡り、古宇利区(玉城章区長)は4月に開かれる区民総会で計画への反対決議を提案し、採決する方針を固めた。
同区によると、JTB側は1月19日に区民説明会を開いたものの、漁業や自然環境への悪化に懸念を示す意見が上がり、2月7日の行政委員会で反対決議の提案を全会一致で承認した。玉城章区長は「自然環境への影響もあり、区民の大半が反対の意見を示している」と、提案の理由を説明した。
ポンツーンはマリンレジャーの拠点施設として整備を予定し、観光用に設置されれば国内初となる。関係者によると、1月に古宇利区の公民館で開かれた説明会で、JTB側は今帰仁、羽地、名護、本部の4漁協から合意が得られれば、来年1月にも新法人を設立し、2026年の開業を目指していると説明した。
説明会の出席者によると、設置を予定するのは古宇利島の東側の1・7キロ沖合で、利用客の定員は約200人、夏場は午前と午後の2回、運天港から利用客を船で運び、年間2万人の来客を見込んでいるという。レストランの設置も検討している。
JTB側は「4漁協の同意が前提」とした上で「住民の反対を押し切って計画を実行に移すことはしない」などと説明した。一方、区民からは「これ以上の環境破壊につながる施設の設営は到底認めることはできない」「なぜ古宇利島沖なのか。他の地域にもっていけば良いのではないか」など、さまざまな反対意見が上がったという。同席した漁協関係者は、設置によって海面使用料が漁協に入り、老朽化した施設の修繕など、設備投資や、組合員へのメリットもあるなどと説明した。
取材に対して、玉城区長は「少数の賛成意見はあるが、区民の大半が計画に反対している。橋が架かって以降、(名産の)ウニが捕れておらず、自然環境が戻っていない。新たな浮遊物設置で、さらに環境が悪化する懸念がある」と語った。浮島の設置場所はタコや刺し網漁の漁場があり、保全する必要性があるとの意見も区民から上がっている。
漁業関係者によると、JTB側は説明会に参加できていない個別の漁業者とコンタクトを取るなどして、計画への理解を求めているという。ある漁協では、組合員の間で賛否が分かれており、最終的な判断には至っていない。
JTB沖縄は取材に対し「未確定のことだが、事業検討のため広くご意見をいただいている。いかなる事業においても、地域の皆さまのご理解と環境への最大限の配慮による地域の持続的な発展を最優先に行う」と述べた。
(池田哲平、與那覇智早)