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路線バスの「自動運転」、豊見城市で実験 今秋以降に市内1周線の一部区間で 市が4社と協定 沖縄


路線バスの「自動運転」、豊見城市で実験 今秋以降に市内1周線の一部区間で 市が4社と協定 沖縄 実証実験に使用される自動運転EV(ティアフォー社提供)
この記事を書いた人 Avatar photo 田中 芳

 豊見城市(徳元次人市長)は27日、特定の条件下で運転手が不要になる自動運転「レベル4」の路線バスの定常運行実現に向けた、包括連携協定を4社と締結した。

 市内一周線(105番)の一部路線で、今秋以降に実証実験を実施する予定。路線バスでのルートの実証実験は、県内では初めてとなる。2025年度中には「豊崎美らSUNビーチ前」から「翁長北」の直線部分を「レベル4」で走行することを目指し、将来的に全区間での自動運転の可能性を検証する。

 提携会社は、第一交通産業グループの琉球バス交通、配車システム開発の電脳交通(徳島県)、自動運転EVバスを開発するティアフォー(愛知県)、自動運転を遠隔管制するNEC(東京都)の4社。各社のノウハウと技術を活用する。

(左から)電脳交通の近藤洋祐社長、NECの井手伸博シニア・バイスプレジデント、徳元次人豊見城市長、琉球バス交通の小川吾吉代表、ティアフォーの藤居祐輔執行役員=27日、豊見城市役所

 実証実験は琉球バスが運行する105番の路線の一部(全長約11・7キロ)で、ティアフォー社が提供するEVミニバスによる自動運転を試みる。運用は約1カ月を予定する。

 国土交通省の「地域公共交通確保維持改善事業費補助金(自動運転社会実装推進事業)」の公募に申請中で、6月の採択発表後、実証時期が確定する。定員23人で客席15席。実証期間中は平日・土日の午前10時から午後3時までに計6本を運行する。運賃は無料。

 徳元市長は、学生や高齢者などの交通手段の確保や、運転手の高齢化に伴う担い手不足、公共交通の利便性確保などを市の課題を挙げ、「自動運転バスの導入によりマイカー依存を減らし、渋滞を緩和することで効率的な交通環境を目指したい」とあいさつした。

 国交省は2025年をめどに全国50カ所で「レベル4」の自動運転の実現を掲げる。ティアフォーの藤居祐輔執行役員は「50カ所の1カ所として数えられるように全力を尽くしたい」と意気込んだ。琉球バス交通の小川吾吉代表は「将来における運転手不足の緩和に大いに役立つのではないか」と述べ、「締結を機に前進し、豊見城市を中心に公共交通に対する期待につながることを念願する」と語った。

(田中芳)