県内のコンビニ出店が加速し、市場が拡大すると同時に競争が激化している。県内シェア1位のファミリーマートを運営する沖縄ファミリーマートの糸数剛一社長と、全国シェアトップで5年前に沖縄に進出したセブン―イレブンの沖縄エリアを管轄するセブン―イレブン・沖縄の久鍋研二社長が、20日までにそれぞれ琉球新報のインタビューに応じ、今後の展望を語った。(聞き手・島袋良太)
―県内コンビニの競合が激しくなっている。
「日本のマーケットが縮小する中、小売りだけでなくあらゆる業種が沖縄に進出してきている。2027年くらいには、沖縄のコンビニ数は人口当たり全国1位の飽和状態になると予測している。競合が激しくなればなるほど、個性とターゲットを明確にしたところが生き残る。チェーン店は本土の資本と組みつつ、どう地元側がカスタマイズしていくかが生き残る知恵だ。沖縄ファミマも最初は苦労したが、カスタマイズし、今は全国のファミマの中でも断トツ1位の日販(1店舗当たりの1日の売り上げ)になった」
―競争激化する中で戦略は。
「コンビニの場合、優先順位はやはり利便性、立地が重要だ。開発戦略では立地を取らないといけない。『利便性』にはいろいろな意味がある。その地域の人にとっての利便性がある。われわれは『究極のローカライゼーション(地元化)』戦略を取っている。立地だけでなく商品やサービスなど中身も便利でないといけない。三つ目はリスクを取りながら新しいことに挑むことだ。例えば今ある陳列棚から雑誌をなくし、『こんなの並んでなかったよね』という雑貨を並べるなど、そういうことをしていきたい」
―現状県内でシェア1位だが、出店量と固定客の獲得に関連性は。
「身近にある、いつでもあることは強みだ。店選びをする人の2割は確信を持って選ぶ熱心な賛同者だ。だがおよそ5割は人気が高いところに流れてしまう。だから地域の1番チェーンであり続けないといけない。店舗数も売り上げも。でなければ好調を推移できない。2位では駄目だ」
―「セブン」進出から5年の分析は。
「現状、想定より影響は少ない。全体としてコンビニ店舗数は増えているが、売り上げは落ちていない。コンビニのマーケット自体が大きくなってきているからだ。ただ本当の競争はここからだ。差が縮まらないように、ファミマも出店を続ける。空白地帯に加え、市場調査が好調なところは、他に取られる前にファミマの近くでもさらに出店する『ビルド&ビルド』もある。競合度が上がると、1店舗当たりの売り上げは当然落ちる。そこをカバーするため、今までにない新たな商品力やサービス力で売り上げを上げる努力をしないといけない」