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「宿泊税」定額制か定率制か? 2月に条例提案へ、検討委が5年ぶりに議論再開 沖縄


「宿泊税」定額制か定率制か? 2月に条例提案へ、検討委が5年ぶりに議論再開 沖縄 コロナ禍を経て議論を再開した第1回宿泊税検討委員会で意見を交わす委員ら=28日、那覇市の南部合同庁舎
この記事を書いた人 Avatar photo 與那覇 智早

 観光目的税(宿泊税)制度の導入に向けた検討委員会が29日、那覇市の県南部合同庁舎で開かれ、コロナ禍の影響で止まっていた議論が約5年ぶりに本格再開した。

 一度は定額制で決定していた税のあり方について、業界が求める定率制の妥当性を協議する。県と市町村の配分や使途なども議題に上がる。課題は山積するが、県は2026年度の導入を目指し、来年2月の県議会で関連条例を提案する方針を改めて示した。

 委員は県内外の観光業関係者ら15人で構成し、委員長には沖縄キリスト教学院大学の上地恵龍副学長を選任した。

 宿泊税は19年に取りまとめた制度設計案で2段階定額制での導入が決まったが、コロナ禍の影響で導入が見送られた。観光需要回復の中、公平性や観光の高付加価値化を求める事業者から制度を見直すべきだという意見が強まったほか、独自に導入を目指す市町村の動きもあり、県は案の練り直しを迫られていた。

 事務局が提示した宿泊税にかかる主な論点は(1)税の使途(2)税率設定のあり方(3)課税免除(4)県と導入市町村の税率・税配分の四つ。

 公平性や見込まれる税収、物価高騰への対応などを理由に、沖縄ツーリズム産業団体協議会や導入予定の5市町村などは定率制を求めている。一方で県などは定率制を導入した場合、受ける行政サービスと納める税負担に乖離(かいり)が生まれ、過重な負担となることなどを懸念する。

 2時間を予定していた第1回会合は約3時間に及んだ。委員からは「県が発表した需要調査の内容が不透明だ」、「県と市町村の税を一緒くたに議論すべきではない」などの意見が上がった。

 検討委は9月26日に第2回、10月中旬に第3回を開き、制度設計案を作成する。その後、県法定外目的税制度協議会やパブリックコメントを経て条例案をまとめ、来年2月に県議会に提出。可決後、総務相と協議したのちに決定する。各関係者が納得するための十分な議論が深められるか注目が集まる。

 (與那覇智早)