おきぎん経済研究所は3日までに、本島周辺離島10町村の産業構造分析調査を発表した。コロナ禍の2020年の労働生産性はコロナ禍前の15年比で44・6%減少し、10町村をのぞく県全体の4・5%減を大きく上回る下落幅だったことが分かった。コロナ禍で観光産業を中心に事業が停滞し、新商品やサービスの開発が進まず、付加価値額が減少したことが影響したと分析した。
労働生産性は従業員1人当たりの付加価値額のことで、調査は県市町村民経済計算や総務省・経済産業省の経済センサスなどから、伊江、渡嘉敷、座間味、粟国、渡名喜、南大東、北大東、伊平屋、伊是名の9村、久米島町の10自治体のデータを抽出し、おきぎん経研が県全体のデータなどと比較・分析した。
10離島町村は小規模企業が中心で、産業別事業所数は「宿泊業、飲食サービス業」「製造業」が多い。コロナ禍の観光客減少などが労働生産性の下落を招いたとみられ、付加価値率(売上高に占める付加価値額の割合)は15年の33・7%から20年は21・5%と大きく減少した。
地域別でみると、20年の労働生産性は15年比で久米島町が62・1%減、北大東村50・6%減、伊江村48・7%減で大きな減少幅がみられた。一方、渡名喜村51・0%増、南大東村14・2%増、伊是名村0・4%増と増加した地域もあった。
10町村の21年度の総生産(実質値)は11年を100とした場合の伸び率が7・7%だったことも示された。おきぎん経研は「付加価値率の下落が労働生産性の減少要因として考えられる」と分析した上で、「産業規模や高付加価値化に多くの課題があるが、島の魅力を生かした地域振興の取り組みが拡大することに期待したい」と労働生産性改善への可能性に言及した。
(当間詩朗)