沖縄県は17日、2024年の県内地価調査結果(7月1日時点)を発表した。「住宅地」「商業地」「工業地」の特徴を紹介する。
<住宅地>北部も地価上昇、県外からの投資後押し
県内住宅地の平均変動率はプラス5・8%だった。上昇は11年連続で、前年比0・9ポイント上昇し、3年連続で上昇幅が拡大した。
堅調な住宅需要を背景に那覇市や中南部地域を中心に地価が上昇してきたが、今年は北部地域にも地価上昇が波及した。県外富裕層が北部地域に別荘を買い求める動きがみられるなど、県外からの住宅投資も地価上昇を後押しした。
最高価格地点は8年連続で那覇市天久2丁目内の1平方メートル当たり34万円(プラス2・1%)だった。
172地点で上昇し、前年の162地点から10地点増加した。平均変動率は市町村別では宮古島市が17・9%で最も高く、北中城村が16・9%と続いた。
3位は恩納村の13・2%、4位は宜野座村の10・3%で、5位の今帰仁村は前年の0・0%から今年は9・7%と急伸した。北部地域の上昇幅が目立った。
<商業地>観光回復で需要増
県内商業地の平均変動率はプラス6・1%で、2023年調査から1・3ポイント上昇した。調査地点が設けられた市町村のうち、前年と同じく23市町村で上昇した。前年は下落だった久米島町と今帰仁村は共に横ばいとなり、下落はゼロとなった。
新型コロナウイルス禍の行動制限が解除されたことで入域観光客数が増加し、観光産業を中心に店舗などの収益力が回復した。開発計画などによって需要が高まり引き合いが強くなっていると考えられる。
変動率が最も高かったのは宮古島市平良下里大嶺356の61外でプラス23・4%だった。最高価格地点は34年連続で那覇市松山1の1の14で、1平方メートル当たり135万円。プラス6・3%の上昇だった。
市町村別の変動率では、宮古島市がプラス15・2%とトップだった。観光需要が旺盛で、商業地の価格を押し上げた。2位は糸満市でプラス11・8%だった。
平均価格では那覇市が44万3200円でトップ。2位は浦添市で21万8200円だった。
<工業地>供給少なく上昇
県内の5地点が基準地とされる工業地はプラス10・6%と、前年比で0・6ポイント上昇した。2023年まで9年連続で上昇率全国一だったが、今年は福岡県の11・6%に次いで2位となった。物流の増加など需要が高まる一方、用地の供給が少ないことなどから、18年以降は毎年10%以上の上昇を続けている。
県内では近年、観光客の増加や大型店の開業などを背景に、物流倉庫の需要が急激に拡大。工業地への引き合いは強いが、供給が不足していることから地価は高止まりしている。
地点別では、西原町小那覇古茶川原がプラス17・3%で最も高かった。那覇空港や中心市街地へのアクセスが良い豊見城市豊崎が12・2%、浦添市勢理客4丁目が10・2%と大きく伸びた。南風原町津嘉山川下原は9・3%、宜野湾市大山7丁目は4・1%だった。