2019年の首里城焼失から、31日で5年が経過した。「見せる復興」をテーマとする首里城の復元作業現場には多くの観光客が訪れている。新型コロナウイルス感染拡大前に深刻化していた渋滞の対策など、26年に予定されている正殿完成後を見据えた対策も進む。
沖縄総合事務局によると、国営沖縄記念公園首里城地区の入園者数は17年度に過去最高の285万人を記録したが、コロナ禍の影響で20年度に33万人に減少。観光客の増加に伴い23年度には144万人に回復している。
沖縄観光コンベンションビューローの、修学旅行を扱う旅行社を対象とした調査では、琉球王国の歴史や文化の中心地だった首里城には焼失後も多くの学校が修学旅行に訪れているという。担当者は「体感で約8割の学校が首里城を行程に入れている」と話した。
コロナ前は朝の開園に合わせて駐車場に大型バスが集中し、一時乗降や入庫できない車両が待機するなど、渋滞が深刻化していた。18年度の時間帯別出庫台数では、近隣住民の通勤や通学時間とも重なる午前8時半~同10時半に集中していた。県によると、池端交差点から首里杜館駐車場入り口までの約150メートルで、25分かかったこともあったという。
県は23年夏に「バス駐車場予約システム」を導入。駐車場は大型バスの予約を優先し、予約制にすることで駐車場に来るバスの台数を制限するねらいがあった。システム導入を受け、現在は大型バスによる渋滞は発生していないという。
観光客数の増加に伴い、今後はレンタカーなど一般車が引き起こす渋滞も懸念される。県の担当者は「首里城周辺の民間駐車場の満空状況を首里城のホームページ内に掲載したり、モノレール首里駅からも歩いて楽しめるように周辺の通りを活性化したりすることが重要だ」と話した。 (與那覇智早)