浦添中学校は4月から、浦添市特産の絹織物「うらそえ織」を取り入れた新しい制服を導入する。うらそえ織は2006年度に内閣府の認定を受けた工芸品で、金城孝子校長は「成長過程にある子どもたちが、制服を通して一緒に市の伝統をつくっていくことができるはずだ」と期待を込めた。
同市は17年に性の多様性を尊重するレインボー宣言を発表しており、学校は教育を通してどのような取り組みができるのかを模索していた。一方で新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化し、子どもたちはさまざまな活動を制限され不安な毎日を送っていた。
金城校長は「不安に嘆くのではなく自分らしく未来を切り開いてほしい」と考え、「性の多様性」や「自分らしさを大切にした自己決定」などの観点から、スカートやズボンを選択できる新制服を作ることを考えた。
22年度に教員やPTA役員らで審議会を発足し、生徒の意見を取り入れながらデザインなどを決めた。その際に、「子どもたちには、支えてくれている地域を愛してほしい。地域と一緒に育つことができる制服にしたい」(金城校長)と考え、地元工芸品のうらそえ織を取り入れようと思い至った。
制服などを製造している日進商会(糸満市)を通じてうらそえ織協同組合に協力を求め、新制服が生まれた。
新制服には、同校のイメージカラーである赤色と、旧制服の灰色を融合させた、オリジナルのうらそえ織の模様が施されている。3年の生徒は「制服は毎日着るもの。模様もデザインもかわいくて、見た人にうらそえ織を知ってもらえる」と笑顔を見せた。自身は卒業するので着ることはできないが、「後輩たちには、なぜうらそえ織が入っているのか理由を知ってほしい」と話した。
うらそえ織協同組合代表理事の親富祖幸子さんは「浦添の代表工芸として、誇りを持って取り組んでいる。生徒と一緒に伝統をつくることができればうれしい」と語った。金城校長も「子どもと地域と学校が、制服を通して一緒に歴史をつくっていけると思う」と完成を喜んだ。
(嘉数陽)