もぐもぐティラジャー
ティラジャーを食べたことはありますか?沖縄ではコマ貝と言う名で売られていることもあります。貝殻をコマにして遊べるからでしょう。図鑑に載っている名前はマガキガイ。マガキというのは「籬」という字を書きます。竹などで粗い目に編んだ垣根のこと。貝殻の茶色い模様がこれに似ているんです。貝の形は、毒針を持つイモガイに似ていますが、目を出すくぼみがあることや、貝殻の口の部分が赤くなるので区別できます。
私たちは茹でたマガキガイを美味しく食べるけれど、マガキガイが海で食べているのは、岩などの表面に生えた小さな藻類です。象の鼻のように伸ばした口の中に、細かい歯がヤスリ状に並んでいて、歯でもあり舌でもあるような感じなので「歯舌(しぜつ)」と呼ばれます。これをえさに押し当てて、こすり取るようにして食べます。
冬から春にかけて、マガキガイは浅瀬に集まってきます。やがて交尾をすると、砂地にひも状の卵を産み付けます。ただし、集まっていれば採集もしやすくて、マガキガイの漁期もこの時期なんです。もし交尾や産卵を見かけたら、そっとしておいてくださいね!
ちなみに、もっと大型で、貝殻からツノが伸びる「海のミギー」クモガイ(https://ryukyushimpo.jp/style/article/entry-714639.html)も、マガキガイの仲間です。同じような顔をしているので、海で出会ったら、ぜひ見比べてみてください。
Vol. 13 マガキガイ
Strombus (Conomurex) luhuanus
● 目:盤足目 Discopoda
● 科:ソデボラ(スイショウガイ)科 Strombidae
● 属:ソデボラ属 Strombus
動画撮影:マガキガイ 2019年2月21日 場所:南城市
動画撮影・編集&執筆
鹿谷法一(しかたに・のりかず しかたに自然案内)
琉球大卒、東大大学院修了、博士(農学)。広島に生まれ、海に憧れて1981年に沖縄へ。専門はカニなどの甲殻類。生き物の形とはたらきの関係に興味がある。最近は、沖縄の貝殻を削って磨くシェルクラフトを行っている。
鹿谷麻夕(しかたに・まゆ しかたに自然案内)
東洋大、琉球大卒。東大大学院中退。東京に生まれ、20代半ばでサンゴ礁に興味を持ち、1993年に沖縄へ。2003年より、しかたに自然案内として県内で海の環境教育を始める。しかたに自然案内代表。手作りぬいぐるみで海を伝える、あーまんシアターも主宰。
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