新型コロナウイルスの緊急事態宣言は解除予定だった11日を目前に、8月22日までの延長が決まった。予定通り実施されれば最長92日間となる。玉城デニー知事は7日、国にまん延防止等重点措置の移行を要望する前、県民の自粛疲れに配慮して「ずっと縛りをかけるのは難しい」と答えていた。しかし8日は一転して、宣言の早期解除に向けて「一緒に頑張りましょう」と、県民にさらなる努力を呼び掛けた。知事の発言は、コロナ禍で耐え続ける県民に届いたのだろうか。
感染対策に関する県の対処方針では、長期にわたって県民へ自粛を求めてきた。しかし会見で、我慢を続ける県民へのメッセージを複数回求められた玉城知事は「悲痛な声は届いており、心が痛い」と述べるだけで、県民に寄り添う言葉は少なかった。
さらに、国に要請したまん延防止等重点措置移行が覆るまで、知事には直接連絡がなったことも明らかにした。宣言延長は「東京の道連れ」と疑問視する声もあるが「国との対立はない」と説明した。
知事は新たな対処方針の説明に時間を割き、空港の水際対策や飲食店の営業時間短縮要請、ワクチン接種の加速化を強調した。その様子をインターネット中継で視聴した沖縄国際大学の大学院生、石川勇人さん(22)は「観光業や飲食業に対して焦点が当てられていた。しかし、視野を広げると学生やシングルマザーなどほかにも困っている人はいる」と、知事の言葉が向けられた対象の狭さに疑問を抱いた。
痛みを伴う緊急事態宣言の延長に「アルバイトを切られ、両親の収入が減って学費に困る学生も出ている。生きづらくなり、追い込まれている人のことも考えられているのだろうか」と話した。
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