「オール沖縄」勢の市政与党と自民・公明を中心とした野党が争った今回の那覇市議選は、秋までに実施される衆院選の前哨戦と位置付けられてきた。23人が出馬した野党系は現有14議席から上積みし、現有15議席の与党を上回った。自公勢力が衆院選に弾みをつけた格好だ。改選後も一定規模の勢力となる中立にもオール沖縄と距離を置く保守系候補も多く、オール沖縄勢力は戦略の練り直しが急務となる。
那覇市を選挙区とする衆院沖縄1区は現状では、オール沖縄勢力が擁立し選挙区で勝利してきた赤嶺政賢氏=共産=と、国場幸之助氏=自民、下地幹郎氏=無所属=の現職3人が争う三つどもえの構図だ。だが、自民復党を目指す下地氏の処遇次第で構図が変わる可能性もはらむ。
今回の選挙では国場氏を支える自民が勢力を拡大した。一方で、下地氏も保守系中立候補5人を支援してきた。
下地氏の復党に対しては自民県連内で警戒感が強く協議は進んでいない。下地氏側は市議選で影響力を示し、現状打開のきっかけにする戦略を描いていた。下地氏の復党問題は来年の知事選における保守勢力や経済界の連携の在り方を左右するだけに、今回の結果が議論にどう影響を与えるかが注目される。
来年の市長選や県知事選の行方も占うとされた市議選だったが、「オール沖縄」は市議会の過半数を確保するための最少人数の候補者すら擁立できず、組織体制の弱体化を浮き彫りにした形となった。
新型コロナウイルス対策を巡る市政・県政への批判票が与党候補の不振につながったとの指摘もある。来年にかけて重要選挙が相次ぐ中、オール沖縄が政策面も含めてどう組織の立て直しを図るのかも問われる。
(大嶺雅俊)
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