沖縄県名護市辺野古の新基地建設に伴うサンゴ移植許可をめぐり、農相が県による撤回処分の執行停止を決めたことを受け、県は6日、すぐに移植作業を再開しないよう沖縄防衛局長に行政指導した。玉城デニー知事は6日、記者会見を開いて「『サンゴ類の生残率をできる限り高める』ことが本来の申請目的だと改めて認識してほしい」と訴えた。農相に対しては再考を促し、執行停止を取り消すよう求めた。
農相が防衛局の主張通り、執行停止を決めたことに「農相が賢明な判断をされることを期待していたが、大変残念だ」とし「職責を果たしているとは、到底考えられない。本来、水産資源保護培養を推進すべき立場の農相の対応として、はなはだ疑問が残る」と批判した。
沖縄近海に相次いで台風が近づいていることに触れ「すでに移植されてしまったサンゴに被害が出ないか非常に心配している」と述べ「サンゴ類を移植してしまえば元に戻すことは不可能で、まして死滅すれば生き返ることはない」と危機感をあらわにした。
今回の執行停止は、沿岸部が荒れ模様でもサンゴの移植作業が認めたことになると指摘し「今回の台風が図らずも県の主張の正当性を明らかにした」と強調した。
県は7月30日、サンゴ移植の許可を出す際に付した条件を防衛局が守っていないとして移植の許可を撤回。防衛局が8月2日、審査請求と執行停止を申し立て、農相が同5日、防衛局の主張を認めて県による撤回処分の効力を止めた。