沖縄県内で新型コロナウイルスの感染が急拡大したことで、保健所や県対策本部から患者への連絡体制にも影響が及んでいる。県が12日に死亡を発表した40代男性の事例では、県対策本部が業務多忙のため男性宅への訪問が遅れた。男性は入院調整中だったが、1人暮らしで、県はそのほかの近親者などの連絡先を把握しておらず、男性の状況を知ることもできなかった。県は今後、患者から複数の連絡先を確認するなど対応を改善するという。
男性は7月27日に症状が確認された後、8月4日にPCR検査を受け、6日に陽性が確認された。医療機関から報告を受けた県対策本部はこの日、男性に基礎疾患があるため、入院調整の電話をかけたがつながらず、7日は留守番電話機能にメッセージを残したという。保健所が8日に自宅を訪問したが、反応がないため不動産関係者や警察と確認したところ、亡くなっていた。
県によると、保健所は患者と1日連絡がつかない場合、訪問するという。しかし感染の急拡大の影響で、県や保健所が電話で確認ができない人が1日10人程度いて対応に追われている。亡くなった男性宅の訪問も7日ではなく8日になった。
医師などによると、新型コロナは症状が悪化すると熱や咳(せき)で話すことが難しくなり、呼吸不全で息ができず、おぼれるような苦しさになる。そのため保健所などの連絡は、同居する家族が受けることもあるという。だが、県は亡くなった男性以外の連絡先を把握していなかった。
糸数公医療技監は「亡くなった原因は分からないが、今(感染急拡大)の影響はあると思う。今後はできるだけ複数の連絡先を確認する必要がある」と、患者の状態を確認する体制を改善する考え示した。
【関連ニュース】
▼沖縄のコロナ感染、世界最悪レベル 10万人当たり256.09人
▼浦添総合病院でクラスター ワクチン接種後の「ブレークスルー感染」も
▼沖縄コロナ「1日最大1466人感染」予測 グーグルAI、現時点で的中
▼沖縄、自宅療養者に酸素吸入器 病床ひっ迫「今までの医療受けられない」
▼南部医療センターが予約入院を停止 沖縄医療「最後のとりで」