首里城が焼失して2年を迎えた。あの日、県民は燃えながら崩れ落ちる様子に衝撃を受け、沖縄全体に喪失感が漂った。しかし、失われたことで首里城の存在意義を改めて考える機会も生まれた。もっと身近に感じられようにするにはどうしたらいいだろう。もっと魅力を知ってもらえるようにするにはどうすればいいだろう。首里城が復元される「その日」に向け、県民一人一人が「私たちの首里城」を思い描いている。
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那覇市の興南高校・中学校の生徒で構成する興南アクト部。2010年に創部してから修学旅行生に首里城を案内してきた。首里城火災後は、パワーポイントや仮想現実(VR)を使って首里城を案内してきた。再建する首里城に「地元の人が訪れることができるようになってほしい」と願いを込める。同部は新型コロナウイルスの影響で途切れていた修学旅行生への首里城ガイドの再開に向けて準備を始めている。
アクト部の生徒らは、入部するまで首里城に一度も行ったことがなかったり、1~2回訪れたことがあったりする程度だった。部活で首里城を訪れ、歴史や文化を学び、修学旅行生にガイドをするうちに、好きになっていったという。
火災当日、生徒らは自宅や学校から燃える首里城を目撃していた。平田胡乃(こな)さん(15)は「琉球舞踊をしていて、首里城祭の前夜祭で踊っていた。首里城独特の建物の色が好きだったから、衝撃を受けた。早く元の姿に戻ってほしい」と切望した。
古見萌々花さん(15)は「学校から燃える首里城を見て、これまでアクト部のやってきたことや、アクト部もなくなってしまうような不安」にかられた。
生徒らはパワーポイントや仮想現実(VR)を使って首里城案内を続けつつ首里城公園で撮影した写真をSNSで発信する取り組みなど自分たちにできる活動をしてきた。
26年度に新しい正殿が完成する時、平田さんらは20~22歳。仲間涼乃さん(16)は「二度と同じ事が起こらないように、焼失時のものを展示し、教訓として残してほしい」と要望する。
地元の人が訪れる機会が少ない現状に「入部前は、首里城は敷居が高いイメージがあった」「サイクリングができるスポットをつくる」「子どもが行っても楽しめるプログラムがあるといいな」などのアイデアが出た。
部長の水野零央さん(17)は「(アクト部が)今よりももっといろいろな活動をしていてほしい」と願い、後輩にバトンとつなげるために首里城ガイドなどに取り組んでいく。
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