沖縄県名護市辺野古の新基地建設を巡り、国土交通相が県による埋め立て承認撤回処分を取り消した裁決は違法だとして、周辺に暮らす市民が国に裁決の取り消しを求めた訴訟は18日、那覇地裁(福渡裕貴裁判長)で結審した。判決は来年4月26日。市民側は行政法学者で政策研究大学院大学の福井秀夫教授と、琉球大の徳田博人教授の証人尋問を求めたが、地裁は採用しなかった。
国側は行政事件訴訟法(行訴法)の規定から「原告としての適格性を欠く」などとして訴えを却下するよう求めている。
市民側は行訴法の改正に携わった福井教授の意見書を証拠として提出。意見書は、立法趣旨や判例などから、現在原告となっている市民4人の原告適格が認められることや、市民側が裁決の違法性を主張できることを指摘している。
18日の口頭弁論で、市民側代理人の白充弁護士が提出した書面の要旨を陳述。原告適格が広く認められるべきだとする福井教授の指摘に触れ「今回の判決は、今後の行政法におけるリーディングケースとなるのは避けられない。裁判所が実務上も学術上も事後検証に十分耐え得る、理論的に優れた判断を示すことを期待する」と訴えた。
2018年8月、県が辺野古沖の埋め立て承認を撤回し、工事が一時中断。沖縄防衛局は国交相に審査請求を申し立て、国交相は19年4月に県の承認撤回を取り消す裁決をした。市民は裁決の取り消しと執行停止を求めて提訴。地裁は昨年4月、原告のうち11人の訴えを却下し、残る4人の審理が続いていた。
裁決の取り消しを求める訴訟は、県も国を相手に起こしているが、昨年11月の地裁判決は、県の訴えが裁判所の審理対象に当たらないとして退けている。
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