新型コロナウイルスの感染が在沖米軍内で急速に拡大していることを受け、沖縄県の玉城デニー知事は2日、県庁で記者会見し「米軍の陽性者が再び急増したことは感染防止対策と管理体制の不十分さを示すものと言わざるを得ず、激しい怒りを覚える」と述べ、米軍の感染症対策に対して強い憤りを表明した。その上で、米軍に地位的な特権を与えている「日米地位協定」の改定を改めて日米両政府に訴えた。
在沖米軍は、昨年12月初旬に米本国から移動してきた部隊から感染が広がり、同31日に98人、1月1日に235人、同2日に70人の陽性者が確認されている。一方、沖縄県は、米側から人数についての情報提供を受けているものの、どの基地で何人の陽性者が確認されているのかなど、詳細な情報提供を受けていない。こうした状況に対して、玉城知事は「軍に地位的な特権を与え、十分な感染予防対策に関する情報の提供も、共有も、ままならないなどの状況をつくり出している。日米地位協定がもたらす構造的な問題だ」と指摘した。
玉城知事は新変異株「オミクロン株」が米軍から基地外の市中に広がっているとの認識を示し、「米国の状況を日本に持ち込むな。そして沖縄に持ち込むな」と強調。全国知事会や渉外知事会などを通して、政府へ対策を働き掛けていく考えを示した。オミクロン株は県内で2日までに65人の陽性者、90人の疑い事例が確認されている。