沖縄県沖縄市とうるま市にまたがる米軍保養施設「タイヨーゴルフクラブ(GC)」の日本人による利用が常態化している。県内の一般ゴルフ場の半額以下でプレーできることもあり、観光客らの利用が常態化。客のほとんどを日本人が占める状態だ。ゴルフ場利用税や消費税は徴収されておらず、県内の業界団体は「民業圧迫」や「脱税行為」として是正を求めてきた。
外務省はこれまで日本人客の利用は「想定していない」との見解を示し、米側に是正を求めたいとしていたが、琉球新報の取材に「日本人による使用を認めても日米地位協定上問題があるとは考えていない」と追認する姿勢に転じた。
関係者によると2020年には同ゴルフ場の利用者数が年間5万人を初めて超え、過去最高に達した。客の8~9割が日本人で、コロナ禍前は日本人の半数近くを観光客が占めていたという。
同ゴルフ場の運営に関わりながらも現状を問題視する関係者は「観光バスで日本人客が集団で訪れることもあり、完全に目的外利用だ。日本の税を徴収するか、観光客らの利用を禁止するなど、一定のルールが必要ではないか」と指摘する。
外務省は1月、本紙取材に「米軍との友好親善」を理由に日本人による利用は日米地位協定上問題がないと答えた。
タイヨーGCは米軍の「アワセゴルフ場」返還に伴い、日本の予算約134億円を使って10年に整備された。利用料はロングコースで日本人一般客は6500円が基本。県内の民間ゴルフ場の半額から3分の1の水準だ。
民間ゴルフ場でつくる県ゴルフ事業連絡協議会は15年に、日本人利用の規制を沖縄防衛局や県に要請した。
協議会の譜久原朝儀事務局長によると、防衛局からは「しっかり対応した」という趣旨の説明があった。その後、タイヨーGCは日本人による利用をしばらく制限していたが、数年前から再び規制を緩めているという。
本紙は同ゴルフ場を所有する米海兵隊に日本人の入場者数や利用条件などを質問したが、4日までに回答はない。
(島袋良太)
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