老舗タコス店「メヒコ」夫婦が引退 本場メキシコで、地元で…研究重ねた味は「常連」に引き継ぐ


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約40年続けた老舗タコス店「メヒコ」を引退し、店の味と看板を継承する具志堅信男さん(左)、美佐子さん夫妻=2月28日、宜野湾市新城の同店

 【沖縄】宜野湾市新城で約40年続く老舗タコス店「メヒコ」を切り盛りしてきた具志堅信男さん(73)、美佐子さん(75)夫妻が2月28日に引退した。長く親しまれたメヒコの味と看板は、信男さんの友人の娘で、子どもの頃から店に来ていた喜友名綾乃さん(49)らに引き継いだ。最終日には常連客が夫妻をねぎらい、寂しがりつつも、事業継承に安心した様子だった。

 メヒコは信男さんが北谷町北前で開業し、1983年から現在の場所に店を構えている。親子3代で通ってきた人も。28日に来店した上原健太郎さん(24)は「幼稚園生の頃から来ている。うちのおじー、おばーは、食欲がない時にもここのタコスだけは食べる」と話し、祖父母に届けるタコスを注文した。具志堅さん夫妻がこの日で引退すると知り「えー!」と驚きの声を上げたが、「味を引き継いでもらえるのならうれしい」と話した。

 メキシコにも足を運んで味を研究した信男さんは、当初は「本場」のカリカリしたトルティーヤを再現した。だがウチナーンチュ好みではなかったようで、売り上げは伸びなかった。そこで県民好みの柔らかめのトルティーヤにするなど研究を重ね、固定ファンが増え、老舗となった。

 店は午前9時から深夜まで営業。結婚してから二人三脚で店を経営してきた美佐子さんは、信男さんと交代勤務で味を守ってきた。美佐子さんは「繁盛している時に引退するのはさみしいけど、だからこそ店を引き継ぐ人が見つかったと思う」と話す。信男さんは「メヒコの味を残せることに安心した」と話した。美佐子さんは「せわしく働いてきたからね。引退してもゆっくり暮らせるかどうか」と笑った。
 (島袋良太)


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