NPO法人メッシュ・サポートの小型機墜落事故の発生から19日で1週間が経過した。国土交通省運輸安全委員会の航空事故調査官3人が県警と合同で13~15日の3日間にわたり伊江島空港などで現地調査を実施。16日には法人関係者から機体の整備計画や亡くなった2人の健康状態を確認するなど事故原因の解明に当たった。
国・県警、原因究明急ぐ
同空港近くの工事現場で働く作業員の男性(64)は事故のあった12日、墜落の瞬間を目撃した。事故後、捜査員や調査官らに事故の様子について尋ねられたという。男性によると、空港の北向けに離陸し、数分後に空港の南側から滑走路に向かって飛行してきた。「低く飛んでいると思った」という。機体は滑走路手前にあるフェンスに衝突し、近くののり面に胴体をぶつけた。同機は炎上し、爆発音とともに黒煙が立ち上ったという。同機にフライトレコーダーの搭載はなく、事故調査と捜査は目撃証言なども基に進められているとみられる。
同機による救急搬送や帰島搬送件数は、2016年は5件だったのに対し、21年には7倍の35件になるなど、要請は増加傾向にあった。新たなパイロットを迎え、医療支援の態勢を強化しようとしたところでの墜落事故だった。
メッシュ・サポートの塚本裕樹理事長によると、同機に乗っていた指導役の男性(73)は、明るく前向きな性格で、法人のスタッフらから父親のような存在として慕われていたという。訓練生の男性(61)は元航空自衛官で飛行経験豊富なパイロットだった。指導役の男性のことを「師匠」と親しみを込めて呼び、何事にも謙虚な姿勢で臨んでいたという。塚本理事長は「2人を失ったことは、メッシュ・サポートにとって大きな損失だ」と声を落とした。
事故を受け、メッシュ・サポートは搬送事業を休止している。伊江村で農業を営む女性(62)は「メッシュの航空機に助けられている人は多い」と話す。昨年7月、義理の母親がくも膜下出血になったが、航空機で救急搬送され、一命を取り留めた。女性は「離島で暮らす人にとって、メッシュの存在は大きい。早く事業を再開させてほしい」と強調した。
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