児童虐待の疑いがあるとして沖縄県警が2021年に児童相談所に通告した件数は前年比134件増の1043件となり過去最多になることが、16日までに県警のまとめで分かった。21年の通告のうち、子どもの前で家族に暴力を振るう面前DVと、子どもに対する暴言や無視などの心理的虐待が7割に上った。
県警少年課は「児童虐待や家庭内暴力(DV)に対する認識の高まりが通告件数の増加へつながった」と指摘。識者は「新型コロナで地域とのつながりが希薄になった家庭のストレスが、弱い子どもに向かっている」と分析する。
過去10年間の県警による通告は、12年が58件、13年は36件だった。その後、増加に転じ、15年は161件と初めて100件を超えた。19年には800件となり、近年100件単位で増加している。
子どもへの虐待行為を禁じる児童虐待防止法は2000年に施行され、04年の法改正で、子どもの前で家族に振るう暴力(面前DV)を心理的虐待、同居人による子への暴力の放置を含む育児放棄をネグレクトと定義した。
警察から児童相談所への通告で、7割を占める面前DVなどの心理的虐待は730件で、次いで身体的虐待は184件、ネグレクトが124件、性的虐待は5件だった。
通告を受けた児童相談所は、事案の担当者を決め、家庭訪問や心理調査などをして、家庭状況の確認と必要な対応を検討する。
21年の県警による児童虐待の摘発は29件、被害児童は30人で、どちらも過去最多となった。このうち、身体的虐待は24件、性的虐待が4件、心理的虐待が1件だった。(友寄開)
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