ペロシ氏訪台が県民生活に影響 米軍機相次ぎ離陸し騒音被害 与那国島を南北に挟む中国軍事演習も


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 ペロシ米下院議長の台湾訪問に伴うとみられる米中両軍の活動激化で、在沖米軍基地周辺での騒音被害や周辺海域での軍事演習実施などが、県民生活に影響を与え始めている。 

 ▼嘉手納基地から米軍機の離陸相次ぐ ペロシ氏の台湾訪問前、警戒活動か

 米中の偶発的な軍事衝突の危険に加え、日常生活にも影響が現れ始めたことで、米軍基地を抱えることのリスクが改めて浮き彫りになった。

 2日夜、嘉手納基地ではペロシ氏の台湾到着に伴うとみられるF15戦闘機の離陸などが確認された。嘉手納町役場によると、2日午後5時から同10時までに観測した騒音は、午後8時16分に屋良局で観測した93・2デシベルが最大だった。2日は町役場に4件の苦情が寄せられた。

 同基地の第18航空団は事実関係を問う本紙取材に「具体的情報は国防長官府に問い合わせてほしい」と明言を避けた。

 同基地では3日もペロシ氏訪台に関係するとみられる米軍機の動向が確認された。3日午後はペロシ氏専用機と同型機が着陸したほか、同日夕には空対空ミサイルを搭載した同基地所属のF15C戦闘機8機と米本国所属のKC135R空中給油機4機も続けざまに離陸した。

 外来機を含む電子偵察機や地上監視機の動きも確認された。ペロシ氏は3日に台湾を出発しており、同氏専用機の飛行に伴う警戒や、中国側の動向監視が続いている可能性がある。

 一方、中国軍が4日から7日にかけて台湾周辺で実施する実弾射撃訓練で、訓練海域の一部が与那国島を南北から挟む形で設定された。

 与那国町漁協の嵩西茂則組合長によると、中国軍の訓練海域は同漁協の漁場から50キロほどの距離にある。同漁協にも水産庁や海上保安庁から連絡と漁業者への周知依頼があった。

 嵩西組合長は「明日以降の演習の度合いをみて、対応を検討したい。国や県にも情報提供をお願いしたい」と語った。
 (西銘研志郎、名嘉一心、塚崎昇平)

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