【Web限定】沖縄県知事選、新著ではや〝舌戦〟 玉城氏と下地氏が7月に出版 選挙に臨む姿勢も反映か 佐喜真氏はSNSなど注力


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知事選に合わせる形で出版された玉城デニー氏の「新時代沖縄の挑戦」(左)と下地幹郎氏の「クソガキの挑戦状」

 8月25日告示、9月11日投開票の沖縄県知事選挙では現職や4年前の候補者らが立候補に名乗りを上げているが、告示を前に早くも〝舌戦〟が始まっている。出馬を表明している現職の玉城デニー氏と前衆院議員の下地幹郎氏がそれぞれ7月に新著を発刊し、別の候補者陣営がその内容を論評するなど、戦いに熱を帯び始めている。

▼辺野古、知事選に立候補予定の3氏の主張に違い

これまでも選挙にあわせて有権者向けPRに書籍を発売する例は少なくない。著書のそれぞれの内容からは、知事選に臨む姿勢が反映されているようにもみえる。

今回の知事選に立候補予定の前宜野湾市長の佐喜真淳氏は新刊出版の予定はないようで、会員制交流サイト(SNS)発信などで広く政策周知を図っていく考えを強調している。  

 

 

県知事選の出馬会見を終え、支持者らにあいさつする玉城デニー氏(中央)=11日午後3時46分、那覇市のロワジールホテル那覇(ジャン松元撮影)

 玉城氏の著書は7月20日発売で「新時代沖縄の挑戦 復帰50年 誰一人取り残さない未来へ」(朝日新聞出版)。232ページあり、表紙は青色のモノトーンの玉城氏の横顔写真を印象的に配置している。帯には「沖縄の〝いま〟と〝これから〟」のキャッチコピーが記されている。

 玉城氏のタイトルにある「新時代沖縄」と「誰一人取り残さない」は4年前の知事選に出馬したときのキーワード。内容は玉城氏自身が米海兵隊と沖縄人女性の間に生まれた出自であることや知事選候補となった経緯、辺野古新基地反対を中心とした玉城県政の取り組みと沖縄の将来への思いを語っている。

▼【動画あり】沖縄知事選、玉城氏が再選出馬表明 「新基地断固認めず」

 

 

書店の出版イベントで新著を出した思いを語る下地幹郎氏=3日夜、那覇市のジュンク堂書店那覇店

 下地氏の著書は7月28日出版の「クソガキの挑戦状」(毎日新聞出版)。304ページのハードカバーで、表紙はテーマカラーのオレンジのスーツと花束を手にした下地氏が、意味深な表情の見返り姿で写っている。

 「クソガキ」は政治家・下地氏が先輩政治家から言われ続けてきたという呼称。現状の県政の問題点を指摘しつつ下地氏が掲げる2050年の未来像を描いている。  

▼下地幹郎氏、沖縄知事選への出馬を表明

 辺野古の新基地建設問題については、これ以上の埋め立ては停止し宜野座村側に滑走路を延長して軍民共用とし、普天間飛行場はオスプレイなどの訓練を鹿児島県の馬毛島に移転させた上で、軍民共用で使用し続けるという構想を記している。国に頼らない沖縄振興も掲げている。

 

 

記者会見で県知事選へ出馬を表明する佐喜真淳氏(前列右から2人目)=5日午後6時50分、那覇市の沖縄ハーバービューホテル

 佐喜真氏は5日、出馬表明の会見をした。その席上、さる7月の参院選に出馬し、今回の知事選では佐喜真氏の「右腕」を自認する古謝玄太氏があいさつし、玉城氏の新著を読んだ印象を披露した。 古謝氏は「ほとんどが自身のこれまでの経歴と基地問題に終始していて、残念ながら経済についてはほとんどなかった」と指摘し、経済政策のリーダーシップが必要と強調した。

 佐喜真氏自身は2氏の新著出版の動きに「(他の2氏の)本を出してることすら知らなかった」と話した上で「僕も出そうかな」と冗談交じりに語った。有権者への情報発信の手法について聞くと「(SNSを)当然、本人も含めて選対もやっていくので」と話した。

▼【動画あり】佐喜真氏が出馬表明 沖縄知事選「辺野古移設を容認」

 

 

 



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