新型コロナウイルスの影響で収入が減った世帯を対象に、特例として無利子で生活資金を貸し付ける、緊急小口資金と総合支援資金(初回)の返済免除手続きが6月から始まっている。県社会福祉協議会(県社協)によると、約2カ月が過ぎた今月5日時点で、返済免除件数は貸付件数の15.07%に当たる計1万5395件、金額は計54億1707万2868円に上るという。2年半以上も続くコロナ禍で、生活基盤を立て直すことができない世帯が一定数いることが浮き彫りとなった。
県社協の渡嘉敷聡民生部長によると「ひとり親や自営業をはじめ、コロナ禍により職種や年齢ともに幅広い世帯が収入減に陥っている」と説明する。返済免除は、借受人と世帯主が21年か22年に収入が一定の水準に達せず、住民税非課税の場合、対象となる。申請は9月末まで受け付けており「さらに増えると思われる」と述べた。
生活福祉資金貸付制度の特例貸し付けは、2020年3月に始まった。返済免除の対象となる今年3月末までの貸し付けの県内実績は、最大20万円までの緊急小口資金が5万6009件で金額は107億2720万2000円、総合支援資金の初回分(最大60万円)が4万6136件で244億8125万9700円になる。県内の免除件数は5日時点で緊急小口資金が8266件で15億8239万9868円、総合支援資金が7129件で38億3467万3千円だった。
免除手続きが進む一方で、感染拡大が続く影響で貸し付けの申請は9月まで延長されており、県社協には今も1日40~50件程度の新たな申請があるという。
厚労省の8月6日付のデータでは、沖縄の貸付件数は緊急小口資金が全国9位、総合支援資金が同7位で、東京や大阪、神奈川、福岡など人口の多い都道県に続いて上位となっている。
県社協は同制度を利用しても生活苦が続く世帯に対して寄り添い型支援を強化する予定。渡嘉敷民生部長は「免除になった世帯も、そうでない世帯も生活再建が厳しい現状がある。フードバンクや就労支援団体と連携していくことが重要になる」と語った。
(嘉陽拓也)
<用語>緊急小口資金、総合支援資金
新型コロナウイルスの影響で収入が減り、生計維持が困難になった世帯が対象。緊急かつ一時的な生活維持を目的とした緊急小口資金の上限額は20万円。生活再建に向けた総合支援資金は最大60万円を3回まで借りることが可能。いずれの資金も無利子で保証人不要。貸し付けの申し込みや返済免除の申請はともに各市町村の社会福祉協議会が窓口となる。
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